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2025/06/14 04:51
契約書作成eコース>「店舗経営委託契約の(転貸にならない)取引設計、契約書作成」のページを更新しました。
店舗経営委託契約の(転貸にならない)取引設計、契約書作成
当事務所は、
・店舗経営を第三者に任せるための契約書
・店長業務を委託するための契約書
→経営委任契約書、店舗経営委託契約書、営業委託契約書
を、全国対応で作成しています。
また、契約書の作成を通じ、取引設計に関するコンサルティングを行っています。
本ページのコンテンツ
■経営委任契約書:店舗経営委託契約書、営業委託契約書 etc.
■事業(営業)の賃貸借契約と経営委任契約、転貸の問題
事業(営業)の賃貸借
経営委任(狭義の経営委任)
経営委任(経営管理)
転貸とならないようにする要件
■「店長」がいない直営店もある
■のれん分け等で、固定資産の譲渡・事業譲渡が絡む場合
■契約書ひながたダウンロード販売
■契約書や利用規約のオーダーメイド
経営委任契約書:店舗経営委託契約書、営業委託契約書 etc.
事業(営業)の所有者が第三者に事業(営業)を委託する場合に締結する契約書です。
委託する内容は『事業(営業)の賃貸借』『狭義の経営委任』『経営管理』等に分類されます。
事業(営業)の所有者と契約の相手方の権限の範囲を明確にしておく必要があります。
賃借している店舗の経営を第三者に委託する場合、転貸の問題に気をつける必要があります。
店舗経営委託契約書
→特定の店舗での経営を、第三者に委託する際に交わされる契約書です。
→例えば...今まで自分が行ってきた、衣料品店、エステサロン、飲食店、ホテル等の経営を、 独立することになった従業員に任せることになれば、その従業員とは今までの雇用関係を解消し、 新たにこのような契約を取り交わすことになります。
→なお、その店舗が自己所有でない場合、転貸にあたらない契約内容とします。
狭義の経営委任契約書
→事業(営業)上の損益が受任者に帰属し、受任者の計算及び裁量によって経営活動が行われ、 営業の損益は受任者に帰属する場合に取り交わす契約書です。
経営管理契約書(経営委任契約書、営業委託契約書)
→事業(営業)上の損益が事業(営業)の所有者(委任者)に帰属し、委任者の計算及び裁量によって 経営活動が行われ、受任者は一定の報酬を受けるに過ぎない場合に取り交わす契約書です。
※以下のページもあわせてご覧下さい。
フランチャイズ、その他のチェーンシステムの契約書
販売代理店契約書
シェアオフィス利用規約
飲食店業、外食産業の契約書
事業(営業)の賃貸借契約と経営委任契約、転貸の問題
事業(営業)の賃貸借
事業(営業)の所有者が、その事業(営業)を他人に賃貸する契約を『事業(営業)の賃貸借』といいます。この事業(営業)には、物的施設に加え商業使用人などの人的要素も含まれます。
用語:『事業』と『営業』
なお、会社が事業を賃貸借する場合の用語は、会社法の適用により『事業の賃貸借』が使われます。いっぽう、個人が事業を譲る場合は、商法の適用により『営業の賃貸借』が使われます。(以前は会社の場合も『営業』でしたが、平成18年5月に施行された会社法により、『事業』という用語を使用するようになりました。例:会社法第467条第1項第4号の文言「事業の賃貸」。)
事業(営業)の賃貸借においては、賃借人の名義で事業(営業)活動が行われます。 すなわち、対外的には賃借人が事業(営業)から生じる権利・義務の主体となります。 ただし、事業譲渡(営業譲渡)とは異なり、事業(営業)の所有権は移転されません。
賃借人の計算及び裁量によって経営活動が行われ、事業(営業)の損益は賃借人に帰属します。
事業(営業)の所有者は、賃借人から賃料という形で支払いを受けます。
経営委任
事業(営業)の所有者が、その営業の経営を他人に委託する契約を『経営委任』といいます。
経営委任においては、事業(営業)の所有者(委任者)の名義で営業活動が行われます。 すなわち、対外的には事業(営業)の所有者が営業から生じる権利・義務の主体となります。
対内的には、次の2種類があります。
『狭義の経営委任』
→事業(営業)上の損益が受任者に帰属する場合。 受任者の計算及び裁量によって経営活動が行われ、営業の損益は受任者に帰属します。 事業(営業)の所有者(委任者)は、受任者から報酬という形で支払いを受けます。 報酬は、「収益の○○%」「売上の○○%」のように決められることが多いです。
『経営管理』
→事業(営業)上の損益が事業(営業)の所有者(委任者)に帰属する場合。 委任者の計算及び裁量によって経営活動が行われ、受任者は一定の報酬を受けるに過ぎません。 その法的性質は、委任者が受任者に対して「経営」という「事務処理」を委託するもので、 民法第643条に規定される通常の委任と解されます。
*「営業活動の名義」「営業損益の帰属(計算)」の違いを表にまとめると、次のようになります。
(事業(営業)の所有者=甲、契約の相手方=乙)
営業活動の名義 | 営業損益の帰属(計算) | |
事業(営業)の賃貸借 | 乙 | 乙 |
経営委任(狭義の経営委任) | 甲 | 乙 |
経営委任(経営管理) | 甲 | 甲 |
転貸とならないようにする要件
賃借りしている店舗での事業(営業)活動を、第三者に経営委託する場合、店舗の家主の承諾を得なければ、契約の内容によっては『転貸』に該当してしまいます。
→民法第612条(賃借権の譲渡及び転貸の制限)は、以下のように定めています。
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第612条 賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
2 賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、 賃貸人は、契約の解除をすることができる。
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→店舗の家主の承諾を得ることができない場合、転貸とならないようにするには、以下の要件が必要です。
(1) 事業(営業)の所有者(委託者)の名義において営業活動を行うこと
(2) 事業(営業)の所有者(委託者)に経営指揮権があること
→営業場所の位置の指定・変更もできること
(3) 権利金等の授受がないこと
→事業(営業)の所有者所有者(委託者)が受託者から受け取る月々の支払いに、何らかの「定額部分」があれば、その定額部分が (名目にかかわらず)実質上の家賃補助/肩代わり=転貸とみなされる可能性が大きくなるので、注意が必要です。
→店舗の家主と締結した賃貸借契約の内容(とくに転貸に関する条項・規定の内容)も確認しておく必要があります。
ご参考:公益財団法人不動産流通推進センター>不動産相談
店舗の経営委託と無断転貸
→店舗の借主が、貸主に無断で経営者を変えて営業する行為は、無断転貸になるか。無断転貸になるとした場合、貸主は、転借人に対しどのような請求ができるか。
「営業委託契約」と「営業の賃貸借」
→ある店舗で営業をしている経営者から、「営業委託契約書」を渡され、この店舗で営業してくれる人を探しているが「営業の賃貸借」でもよいと言われた。 この話は、店舗の賃貸借の話なのだろうか。
【ダウンロード販売:追加料金で専門家(行政書士)のカスタマイズも】
→ 店舗経営委託契約書(経営管理)
※店舗経営委託契約、とくに『経営管理』の内容のひながたです。
※店舗の運営を第三者に任せる場合に。転貸の問題も考慮しています。
→ 店舗経営委託契約書(狭義の経営委任)
※店舗経営委託契約、とくに『狭義の経営委任』の内容のひながたです。
※店舗の運営を第三者に任せる場合に。転貸の問題も考慮しています。
→ 店舗事業(営業)の賃貸借契約書
※店舗における『事業(営業)の賃貸借』の契約書ひながたです。
※店舗の運営を第三者に任せる場合に。
【会社法による規制について】
株式会社が『事業の全部の賃貸、事業の全部の経営の委任、他人と事業上の損益の全部を 共通にする契約その他これらに準ずる契約の締結、変更又は解約(会社法第467条4項抜粋)』を するときは、株主総会の特別決議を経る必要があります。
【独占禁止法による規制について】
会社が『事業の全部又は重要部分の譲受け・賃借・経営の受任、他の会社と事業上の損益全部を 共通にする契約の締結事業の全部の賃貸(独占禁止法第16条抜粋)』をすることにより、一定の 取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合には、当該行為をしてはなりません。 また、これらの行為を不公正な取引方法により行ってはなりません。
注;独占禁止法は、『私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律』のことです。
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(より詳細な記載内容、並びに契約書のひながた・テンプレートは、「店舗経営委託契約の(転貸にならない)取引設計、契約書作成」をご参照下さい。)