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2023/12/27 15:40

契約書作成eコースに以下のページを追加しました。


【資金決済法の規制対象となる回数券(チケット制)サービス】

1.回数券(チケット制)サービスとは
回数券(チケット制)サービスとは、サービスの利用権を最初にまとめて販売するビジネスモデルをいいます。回数券/チケット1枚毎に、提供されるサービスの内容、有効期間を定めることができます。

サービス提供者側にとっては、売上の確保につながる、サービス提供の計画が立てやすくなる、お得感を出したり営業のフックとして利用できるといったメリットがあります。

サービス利用者側にとっては、都度購入より安くなることが多い、サービス内容の計画を立てやすい、勝手に契約が継続更新される不安がないといったメリットがあります。

2.回数券(チケット制)サービスの導入事例
様々な業界で回数券(チケット制)サービスが導入されています。

回数券(チケット制)サービスを導入する業界の事例
フィットネス、ヨガ、パーソナルトレーニング
整体、リラクゼーション、各種治療院
美容院(ヘアメイク)、ネイル、まつ毛エクステ、ボディジュエリー
脱毛、ホワイトニング、各種エステサロン
各種スポーツ事業
ダンスレッスン、モデルレッスン、ボイストレーニング
占い
各種スクール事業
飲食店業
IT/WEBの保守・サポートサービス

3.回数券(チケット制)サービスに関する資金決済法の規制
回数券(チケット制)サービスを導入する事業者は、資金決済法(資金決済に関する法律)によって、前払式支払手段の発行者としての規制を受けることがあります。

前払式支払手段とは、次の4つの要件をすべて備えたもののことをいい、該当する場合は資金決済法の適用を受けることになります。

(1)金額又は物品・サービスの数量(個数、本数、度数等)が、証票、電子機器その他の物(証票等)に記載され、又は電磁的な方法で記録されていること。

(2)証票等に記載され、又は電磁的な方法で記録されている金額又は物品・サービスの数量に応ずる対価が支払われていること。

(3)金額又は物品・サービスの数量が記載され、又は電磁的な方法で記録されている証票等や、これらの財産的価値と結びついた番号、記号その他の符号が発行されること。

(4)物品を購入するとき、サービスの提供を受けるとき等に、証票等や番号、記号その他の符号が、提示、交付、通知その他の方法により使用できるものであること。

→これら4つの要件を満たす事業者は、第三者型前払式支払手段発行者)として財務局長等への登録、または自家型前払式支払手段発行者)として財務局長等への届出及び発行保証金の供託等が必要となります。

→ただし、これら4つの要件を満たしていても、資金決済法の適用対象外になるものもあります。

→資金決済法の適用対象であるか、それとも適用対象外であるかの判断につきましては、以下の出典・引用先に掲載されている前払式支払手段発行者チャートが参考になります。

出典・引用(一般社団法人日本資金決済業協会)
事業者のみなさまへ>前払式支払手段発行業の概要

4.資金決済法の適用対象外にするための取引設計
払式支払手段の発行者は、資金決済法の適用対象となる場合、前述したように、第三者型前払式支払手段発行者)として財務局長等への登録、または自家型前払式支払手段発行者)として財務局長等への届出及び発行保証金の供託等が必要となります。

→しかし、通常(とくに中小規模の事業者にとっては)、資金決済法の適用対象としてこれらの体制を整えることは困難です。 そのため、以下のような、資金決済法の適用対象外とする取引設計がなされています。

回数券(チケット)の有効期間を6か月以内にする
→最も簡単な取引設計となります。資金決済法では、有効期間が6か月以内である前払式支払手段が資金決済法の適用対象外とされています。

回数券(チケット)の未使用残高が1000万円を超えないようにする
→回数券(チケット)の有効期間を6か月超とする場合であっtも、未使用残高が基準日の時点で1000万円を超えない場合は、資金決済法の適用対象外となります。
資金決済法では、毎年の基準日(毎年3月末日と9月末日の年2回)のいずれかに未使用残高が1000万円を超えた場合に、自家型前払式支払手段発行者として資金決済法の適用対象となります。これらの基準日前に新規の回数券・チケットの販売を停止して未使用残高が1000万円を超えないようにする措置が考えられます。

当事務所は、資金決済法(資金決済に関する法律)の規制を受けない回数券(チケット制)サービスの取引設計に関するコンサルティング・アドバイスを行います。また、回数券(チケット制)サービスの導入を反映した利用規約・契約書の作成を行います。

以下のページもご覧下さい。
サブスクリプションの取引設計、利用規約・契約書作成

【契約書・利用規約ひながた】