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生成AI導入支援(再委託)・カスタマイズ型AIサービス構築・運用業務委託基本契約書+個別契約書
(生成AI導入支援(再委託)・カスタマイズ型AIサービス構築・運用業務委託基本契約書+個別契約書.docx)
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【生成AI導入支援(再委託)・カスタマイズ型AIサービス構築・運用業務委託基本契約書+個別契約書】
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★生成AI導入支援の業務、とくに「カスタマイズ型AIサービス構築・運用業務」を再委託する場合の、業務委託契約書のひながたです。
→「カスタマイズ型AIサービス」の例としては、AIチャットボットサービスが挙げられます。
★経済産業省「AIの利用・開発に関する契約チェックリスト」を参考にして作成しています。
https://www.meti.go.jp/press/2024/02/20250218003/20250218003.html
【ユースケース】
(1)小売事業者・製造事業者・サービス事業者(AI利用者:ユーザ)が、ユーザエクスペリエンス改善のため、AIチャットボットサービスの提供事業者(AI提供者:ベンダ)に対して、自社の業態や製品・サービスに特化したカスタマイズサービスの提供を求める。この際、AI提供者(ベンダ)は、汎用的AIサービスの提供事業者(AI開発者・AI提供者)との間の契約に基づき基盤モデルを利用し、モジュールやデータベース等を新規に開発する。
(2)AI提供者(ベンダ)は、AI利用者(ユーザ)から受託した業務の全部又は一部をフリーランス技術者(エンジニア)に再委託する。
→AI利用者(ユーザ)がAI提供者(ベンダ)に対し、カスタマイズ型AIサービス(上記ユースケースではAIチャットボットサービス)の構築(開発・提供)及び運用(保守・運用)に関する業務を委託し、AI提供者(ベンダ)は、その業務の全部又は一部をフリーランス技術者(エンジニア)に再委託することを想定しています。
→本契約では、契約当事者を以下のとおりとしています。
甲(再委託者、ベンダ)と乙(受託者、技術者)。
→原契約:契約条項は以下の契約書(当事務所の契約書ひながた、原契約書)の構成を踏襲し、甲(再委託者、ベンダ)が原契約書に基づきユーザに対して負う義務を乙(受託者、技術者)に課す内容としています。
生成AI導入支援・カスタマイズ型AIサービス構築・運用
業務委託基本契約書+個別契約書
https://akiraccyo.thebase.in/items/126174421
★カスタマイズ型AIサービスにはチャットボット以外にも多様な例があります。例えば、業界や用途ごとに特化したAIシステム(音声認識、画像解析、業務自動化など)が代表的です。本契約書ひながたは、これらのカスタマイズ型AIサービスに適用可能です。
★カスタマイズ型AIサービスの構築(開発・提供)に関する業務、及び運用(保守・運用)に関する業務の双方をカバーしています。
★末尾に「個別契約書」のサンプルを2つ付けています。
(その1:本件構築業務に関する内容)
(その2:本件運用業務に関する内容)
★【求償】
乙(技術者)がユーザに損害を与えたことにより甲(ベンダ)がユーザに損害賠償をした場合、乙(技術者)は、甲(ベンダ)からの求償に応じるものとしています。
★【委任契約(準委任契約)における再委託】
委任契約(準委任契約)は、受任者の技量が重視されるため、原則的に再委託(民法では「復委任」)は禁止されます。但し、受任者が委任者の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由がある場合には、再委託が可能となります(民法第644条の2)。
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民法第644条の2(復受任者の選任等)
第六百四十四条の二 受任者は、委任者の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復受任者を選任することができない。
2 代理権を付与する委任において、受任者が代理権を有する復受任者を選任したときは、復受任者は、委任者に対して、その権限の範囲内において、受任者と同一の権利を有し、義務を負う。
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★「フリーランス・事業者間取引適正化等法」に対応しています(特約を参照)。
→個人事業主への配慮: 特約として、安全・衛生、ハラスメント、育児介護等への配慮に関する規定を設けています。
→ご参考(当事務所HP):強行法規について|フリーランス・事業者間取引適正化等法
https://keiyaku.info/dk03.html
★ご参考(当事務所HP)
生成AI導入:社内研修サービスの取引設計、契約書の作成
https://keiyaku.info/data03.html
生成AI導入:導入前支援サービスの取引設計、契約書の作成
https://keiyaku.info/data04.html
生成AI導入:汎用的AIサービスのカスタマイズに関する取引設計、契約書の作成
https://keiyaku.info/data05.html
★「生成AI導入支援(再委託)・カスタマイズ型AIサービス構築・運用業務委託基本契約書+個別契約書」に含まれる条項
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第1条(定義等)
第1項:本契約書上で使用する用語の定義に関する規定です。
→ここでは、次の用語を定義しています:「本件サービス」「対象AIサービス」「対象ソフトウェア」「インプット」「アウトプット」「業務提供物」「提供資料」
→「業務提供物(甲及び/又は乙が本件業務を遂行する過程で、対象AIサービスに組み込むために新規に開発又は作成し、ユーザに提供するモジュール、データベース、インターフェース、技術文書、その他の資料のIP)」と「インプット/アウトプット(ユーザが甲に提供又は入力するデータ/インプットに基づき、本件サービスによって生成・出力された文章、画像、プログラムコード、その他のデータのIP)」を明確に区別しました。これにより、業務で提供されたもの、生成されたものに対する権利関係のトラブルを防ぎます。
第2項:本契約中で用いられる用語である「書面」には、電磁的記録が含まれるものとしています。(契約の電子化に対応しています。)
<定義規定の内容を以下に抜粋します>
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本契約中で用いられる以下の用語は、別段の定めのない限り、以下の各号に定める定義によるものとする。
(1)「ユーザ」とは、甲に本件業務を委託した事業者をいう。
(2)「原契約」とは、ユーザが甲に本件業務を委託し、甲がこれを受託するにあたって、ユーザと甲の間で締結した契約をいう。
(3)「本件サービス」とは、甲が本件業務の遂行によりユーザに提供する、ユーザの業態や製品・サービスに特化して改良・調整されたカスタマイズ型AIチャットボットサービス一式をいう。
(4)「本件構築業務」とは、本件業務のうち、カスタマイズ型AIチャットボットサービスの開発・提供に関する業務をいう。
(5)「本件運用業務」とは、本件業務のうち、カスタマイズ型AIチャットボットサービスの保守・運用に関する業務をいう。
(6)「対象AIサービス」とは、本件サービスの基盤モデルとして利用される、第三者が提供する汎用的AIサービスをいう。
(7)「対象ソフトウェア」とは、本件業務において使用・解説の対象となる、第三者が権利を有するソフトウェアであって、第三者からライセンスを受けるものをいう。
(8)「インプット」とは、本件サービスの利用、又は本件業務の遂行過程における開発・学習のために、ユーザが甲に提供又は入力するテキスト(プロンプト)、画像、音声、その他のデータをいう。
(9)「アウトプット」とは、インプットに基づき、本件サービスによって生成・出力された文章、画像、プログラムコード、その他のデータをいう。
(10)「業務提供物」とは、甲及び/又は乙が本件業務を遂行する過程で、対象AIサービスに組み込むために新規に開発又は作成し、ユーザに提供するモジュール、データベース、インターフェース、技術文書、その他の資料等の一切(本件サービスを構成する要素を含む)をいう。
(11)「提供資料」とは、本件業務の遂行にあたり、ユーザが甲に対し、本契約その他のユーザ及び甲が合意した書面に定める条件に従い提出する、本件業務の遂行に必要なユーザの業務フロー、内部規定、データ、その他の資料一切をいう。
2 本契約中で用いられる用語である「書面」には、電磁的記録が含まれるものとする。
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第2条(本契約の目的、業務内容、契約形態)
第1項:甲(ベンダ)は、甲がユーザから受託した本件業務(カスタマイズ型AIチャットボットサービスの開発及び提供に係る業務の全部又は一部を乙(技術者)に再委託し、乙はこれを受託するものとしています。
第2項:本件業務は、以下の2つの業務から構成されるものとし、具体的な業務内容、期間、対価、及び本件サービスの仕様は、個別契約及び/又は別紙仕様書で定めるものとしています。
・「本件構築業務」:カスタマイズ型AIチャットボットサービスの開発・提供
・「本件運用業務」:カスタマイズ型AIチャットボットサービスの保守・運用
第3項:本契約の契約形態は、業務提供物の提供又は提示が本件業務の成果に含まれる準委任契約(成果完成型準委任契約)であることを明記しています。
第3条(個別契約)
個別契約に関する規定です。
→個別契約には、注文書又は発注書ならびに見積書又は注文請書もしくは受注書等が含まれるものとしています。
→個別契約には、甲が乙に委託する個別具体的な業務の内容、業務提供物の仕様、期間、対価等の必要な事項を記載するものとしています。
→第2項に、本契約と個別契約間にて規定が異なった場合の取扱いを定めていますが、ここでは「個別契約が優先する」としています。もちろん「本契約が優先する」と規定することも可能ですが、個々の業務の実情に合わせた規定を個別契約に定めたほうが臨機応変に対応できることから、個別契約を優先させることが一般的です。
第4条(善管注意義務、非保証)
【善管注意義務(善良なる管理者の注意義務)】
善管注意義務とは、民法644条に基づき、委任を受けた受任者が委任者対し負う義務のことです。民法644条では「受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う」と規定されています。ある職業や社会的地位にある人が、その立場において社会通念上要求される注意を払う義務となります。
【非保証】
但し書以降:本件業務は生成AIシステムの開発及び提供を含むものであり、乙(技術者)が甲(ベンダ)に対して、ユーザの事業における本件サービスの具体的な性能、稼働率、アウトプットの完全性、特定目的への適合性、又はアウトプットに第三者の権利を侵害する情報が含まれないことについて、いかなる保証も行うものではない旨を明記しています。
第5条(再委託)
乙(技術者)が、甲(ベンダ)から受託した本件業務の全部又は一部を第三者に再委託することを禁止する規定です。
第6条(対価、費用及び支払方法)
第4項:甲の乙に対する金銭債務は、契約終了も弁済が完了するまで存続するものとしています。
第5項:甲が乙に対する金銭支払債務の履行を怠ったときは、法定利率の割合による遅延利息を乙に支払うものとしています。
→遅延利息の利率を法定利率より高くする場合(乙に有利とする場合)の規定例を以下に記載します。
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5 甲が、乙に対する金銭支払債務の履行を怠ったときは、甲は、支払期日の翌日から完済の日まで、年利14.6%の割合による遅延利息を乙に支払う。
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【遅延損害金等について】
ご参考:法務省|令和5年4月1日以降の法定利率について
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00317.html
→改正利息制限法の利息の上限利率は、例えば営業的金銭消費貸借で、元本額10万円未満の場合は20%です。ご参考:公証人連合会HP:https://www.koshonin.gr.jp/notary/ow05_1
→下請法や消費者契約法にならい年率14.6%としているケースが多いです。
【遅延損害金の計算】
例えば、10万円の支払い期日が8月31日だとして、実際の支払いが9月5日だったとします。遅延損害金は、以下のような計算となります。
(未払い金:10万円)×(年利:0.146)÷365日×(遅れた日数:5日)=200円
第7条(権利の帰属)
インプット、アウトプット、業務提供物及び提供資料を区別して権利帰属を定めています。
【業務提供物の権利帰属について】
基本契約では、業務提供物の権利帰属を「業務提供物に関する著作権(著作権法第27条及び第28条の権利を含む)その他一切の知的財産権は、甲又は甲に使用許諾した第三者に帰属する。乙は、本件業務の遂行に伴い発生する移転可能な権利(著作権法第27条及び第28条の権利を含む)を全て甲に譲渡するものとし、肖像権等の権利を主張しないものとする。」としています。
→甲(ベンダ)又は甲に使用許諾した第三者に帰属するものとしています。
→乙(技術者)の権利帰属とする場合は、別途、個別契約にて定めることになります。
第8条(対象AIサービスの取扱い)
本件サービスは「対象AIサービスの提供事業者との契約に基づき提供を受ける対象AIサービスを基盤として利用するカスタマイズサービス」であるため、原契約及び本契約の定めにより、ユーザ、甲及び乙は、本件サービスの提供及び利用において、対象AIサービスの提供事業者が定める利用に関する契約を遵守する必要があります。
第9条(対象ソフトウェアの取扱い)
対象ソフトウェア(第三者が権利を有するソフトウェア)の取扱いに関する規定です。
【対象ソフトウェアとして、生成AIツールを利用する場合】
第3項:
→乙は、当該生成AIツールを利用する際に、甲が指定する入力禁止情報を入力しないものとしています。
→乙は、当該生成AIツールより出力された情報についての真偽及び正確性等を合理的に可能な範囲で確認するものとしています。
第10条(インプットの取扱い・入力データの制限)
経済産業省「AIの利用・開発に関する契約チェックリスト」では、インプットがAIの学習に利用されるリスクが強調されています。生成AI導入前支援のフェーズであっても、ユーザが機密情報や個人情報を入力してしまうリスクがあるため、乙(技術者)が本件業務の遂行において、ユーザ及びユーザの役員・従業員が当該可能性を十分に認識していることを確認し、かつ、機密情報や個人情報を含むインプットを行わないよう、適切に指導するものとしています。
また、乙(技術者)がユーザ及びユーザの役員・従業員への指導を怠った結果、ユーザ又はユーザの役員・従業員が誤ったインプットを行ったことによりユーザに損害(情報の漏洩、第三者への権利侵害等を含む)が生じ、甲(ベンダ)がユーザに当該損害の賠償をした場合、乙(技術者)は、甲(ベンダ)からの求償に応じるものとしています。
第11条(アウトプットの取扱い)
アウトプットの取扱いについては、乙(技術者)が、本件業務の遂行に際してユーザ及びユーザの役員・従業員に説明すべき事項となります。
→乙(技術者)が、本件業務の遂行に際してアウトプットの取扱いについてユーザ及びユーザの役員・従業員に説明すべき事項について規定しています。
第12条(業務提供物の取扱い)
第13条(提供資料の取扱い)
第2項:乙(技術者)は、前項に基づき甲(ベンダ)から提供された提供資料に係る一切の知的財産権がユーザ又はユーザに使用許諾した第三者に帰属することを認識し、善良な管理者の注意をもって管理、保管し、かつ、本件業務以外の用途に使用してはならないものとしています。
第14条(業務遂行報告、業務遂行の確認)
準委任契約の場合、業務遂行の確認は、善管注意義務(善良なる管理者の注意義務)に従って業務が遂行されたかについての確認となります。
業務提供物の納入が乙の本件業務の内容に含まれる場合には、個別契約及び/又は別紙仕様書で定められた納入期限、納入場所その他の条件に従い、業務提供物を納入するものとしています。
第15条(債務不履行責任-準委任)
債務不履行責任に関する規定です。
→契約形態(成果完成型の準委任契約)に合わせた内容としています。
→第2項:「対価を減額する」及び/又は「ユーザに発生した損害を甲が賠償した場合に乙は甲からの求償に応じる」ものとしています。
→第3項:業務提供物に「不一致」が発見された場合に乙が債務不履行責任を負う期間を6か月以内としています。(この期間は契約で定めることができます。)
第16条(生成AIの特性、非保証及び免責)
乙(技術者)がユーザ及びユーザの役員・従業員に対し、生成AIの特性、非保証及び免責について、業務提供物を用いて十分に説明すべき項目について規定しています。
アウトプット(AI生成物)に関する非保証・免責を明確にしています。
第17条(本件サービスの保守及び運用)
本件サービスの保守及び運用業務(すなわち本件運用業務)に関する規定です。
第18条(設備・機器の使用、貸与)
乙(技術者)の故意又は過失によりユーザから貸与された設備・機器等の修理・調整・交換等の必要が生じ、それによってユーザに生じた損害を甲(ベンダ)が賠償した場合、乙(技術者)は、甲(ベンダ)からの求償に応じるものとしています。
第19条(秘密保持義務)
第20条(個人情報の取扱い)
第21条(損害賠償責任、不可抗力免責)
第1項:損害賠償責任に関する一般的な規定です。
→損害賠償の範囲を限定する規定を加えた、第1項の別例を以下に記載します。
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甲及び乙は、本契約又は個別契約に関し、故意又は過失により相手方に損害を与えたときには、それにより相手方が被った損害を賠償しなければならない。但し、甲及び乙は、相手方に現実に発生した通常かつ直接の損害に対して責任を負うものとし、相手方の履行利益に係る損害その他の間接損害については、賠償責任を負わないものとする。
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→「履行利益」とは、契約通り履行がされていれば得られたはずの利益のことをいいます。
→「履行利益」には、「逸失利益」と「履行されていれば発生しなかった出費」の双方が含まれます。
→「逸失利益」
例えば、甲から受託した業務を乙が遂行しなかった場合、これは乙の債務不履行になります。乙が遂行していれば甲が得られたはずの利益のことを逸失利益といいます。
→「履行されていれば発生しなかった出費」
乙が契約通り履行しなかったことにより、甲が出費を余儀なくされた場合は、「履行されていれば発生しなかった出費」が発生しています。
【損害賠償の範囲:民法関連条文】
下記条文(民法第416条)が規定する損害賠償の範囲では過大な場合は、契約にて損害賠償の責任範囲を限定します。
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民法第416条(損害賠償の範囲)
1.債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。
2.特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見し、又は予見することができたときは、債権者は、その賠償を請求することができる。
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第2項:乙(技術者)がユーザに損害を与えたことにより甲(ベンダ)がユーザに損害賠償をした場合、乙(技術者)は、甲(ベンダ)からの求償に応じるものとした規定です。
第3項:乙(技術者)が本件業務を行うにあたって故意又は過失によりユーザに損害を与えた場合であって、ユーザが乙(技術者)に対し当該損害に係る賠償請求をした場合、甲(ベンダ)は当該損害に係る賠償責任を負わない旨の規定です。
第4項:不可抗力免責に関する規定です。
第22条(権利譲義務の譲渡禁止)
第23条(契約期間、中途解約)
第1項:ここでは、本契約の有効期間を「 年 月 日から 年 月 日まで」と規定しています。(「本契約の締結日から〇年間」のように定めることもできます。)
【契約書の日付:過去に遡って契約を適用させたい場合】
→本契約の効力を契約締結日より前から遡及的に発生させたい場合は、「本契約の有効期間は、契約締結日にかかわらず 年 月 日より遡及的に効力を有するものとし、当該日から 年 月 日までとする。」のように規定します。
第4項:甲の乙に対する中途解約に関する規定です。
第5項:甲が中途解約した場合の、解約時点までに乙が実施した本件業務についての業務委託料のうち未払分の支払いに関する規定です。
第24条(契約解除)
本条項は、本契約の約定解除権について規定し、また損害賠償請求について注意的に規定しています。
民法上、相手方が契約上の債務を履行しない場合には、解除権が発生します (法定解除権、民法541条、543条)。本条項は、かかる法定解除権とは別に、約定で解除事由を付加し、また催告をしないで解除できることを定めています。
第25条(完全合意)
第26条(契約の変更)
第27条(暴力団等反社会的勢力排除条項)
第28条(準拠法、協議、紛争解決)
第3項:「甲の本店所在地を管轄する地方裁判所又は簡易裁判所」は、例えば「原告の所在地を管轄する地方裁判所又は簡易裁判所」「東京地方裁判所又は東京簡易裁判所」としてもよいです。
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【特約】
第29条(安全・衛生)
★「フリーランス・事業者間取引適正化等法」に対応するための規定です。
第1項:乙(技術者:受任者)が個人で業務に従事することを踏まえて、労働契約法第5条に準じて、甲(ベンダ:委任者)に対して乙(技術者:受任者)の生命、身体等の安全配慮を求めるものです。労働契約法第5条の「生命・身体等の安全」には、心身の健康も含まれるものとされていますので、本規定例においてもこれに準じて心身の健康も含めて配慮を求めるものとしています。
なお、フリーランス法では、甲(ベンダ:委任者)に対し、フリーランスである乙(技術者:受任者)に行われる各種ハラスメント(パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、マタニティハラスメント)について、フリーランスからの相談に対応するための体制整備 や、ハラスメントの防止・改善のために必要な措置を講じることを義務付けています(同法第14条)。そのため、法施行後、第1項は「~事故やハラスメントの防止等必要な措置を講じるものとする。」とすることが考えられます。
第2項:現場の安全衛生に関する責任体制の確立のため、スタッフの安全衛生管理を行う者を特定し、書面等により通知することが望ましいことから規定したものです。この規定例では、安全衛生管理者について書面等により通知することとしていますが、契約段階において安全衛生管理者が特定されている場合には、その氏名等について明示しておくことも考えられます。
第30条(ハラスメントに関する方針)
★「フリーランス・事業者間取引適正化等法」に対応するための規定です。
※以下の委任事業者には、フリーランスに対して「ハラスメント対策に係る体制整備」義務が発生します。
●フリーランスに業務委託をする事業者
●従業員を使⽤している
●⼀定の期間以上行う業務委託である
具体的なハラスメント対策措置としては、以下のような取組があります。
■ハラスメントに関する方針の策定
■相談窓口や責任者の設置と連絡先の明示
■撮影開始前に、ハラスメント防止に関する講座の実施
■ハラスメントの定義や事例を書面で周知
■ハラスメント発生時の対応フローを予め書面で周知
ハラスメント対策のガイドラインに関しては、指針を示し公表している業界団体も存在します。
一般公開されている様々なガイドラインや事例を参照し、映画制作現場ごとに、甲自らガイドラインを設けることも考えられます。
厚生労働省では、職場におけるハラスメント対策の周知用文章及びガイドライン事例が下記リンク先で具体的に示されています。
【参考】
「セクシャルハラスメント対策に関する周知用文書の例」
厚生労働省・都道府県労働局「(事業主向け)職場におけるセクシャルハラスメント対策に取り組みましょう!」より(令和6年1月5日閲覧)
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000333510.pdf
厚生労働省・山形労働局|雇用環境・均等室 ハラスメント対策・各種規定例ダウンロード(フリーランスに対するハラスメント対策の文書例がダウンロードできます)
https://jsite.mhlw.go.jp/yamagata-roudoukyoku/roudoukyoku/gyoumu_naiyou/koyoukankyoukintousitu/kiteirei.html
第31条(育児介護等に対する配慮)
★「フリーランス・事業者間取引適正化等法」に対応するための規定です。
フリーランス法上、業務委託が一定期間以上継続して行われるものである場合、発注者はフリーランスに対し、育児介護等と両立しつつ業務に従事できるよう、状況に応じた配慮をすることが求められています(同法第13条)。
第32条(SNS等の利用)
★SNS等の利用に関する規定です。
→乙が甲の事前承諾を得ることなく、本件業務に関してSNS等に投稿等をすると問題になります。
→「SNS等の利用に関する規程(ガイドライン)」を、別途制定することも考えられます。
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【個別契約書のサンプル(その1:本件構築業務に関する内容】
個別契約書のサンプル(その1:本件構築業務に関する内容)です。
→必要に応じて利用して下さい。
→個別契約を必ずこのフォーマットで作成する必要はありません。
→個別契約にしたい書面(電磁的記録を含みます)には、「この書面は 年 月 日付のカスタマイズ型AIサービス開発・保守業務委託基本契約に基づく個別契約です。この書面に定めなき事項及び解釈の疑義については、全て基本契約の規定によるものとします。」のような文章を記載します。
第1条(目的)
第2条(業務の遂行期間及び終了)
第3条(対価、費用及び支払方法)
第4条(特記事項:学習データ(インプット)の取扱い)
第5条(規定のない事項の取扱い)
【カスタマイズ型AIチャットボットサービス 仕様書】
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【個別契約書のサンプル(その2:本件運用業務に関する内容)】
個別契約書のサンプル(その2:本件運用業務に関する内容)です。
→必要に応じて利用して下さい。
第1条(目的)
第2条(業務の遂行期間及び納入)
第3条(本件運用業務の内容)
第4条(対価、費用及び支払方法)
第5条(セキュリティ及びサービスの取扱い)
第6条(規定のない事項の取扱い)
【仕様書】
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(1)小売事業者・製造事業者・サービス事業者(AI利用者:ユーザ)が、ユーザエクスペリエンス改善のため、AIチャットボットサービスの提供事業者(AI提供者:ベンダ)に対して、自社の業態や製品・サービスに特化したカスタマイズサービスの提供を求める。この際、AI提供者(ベンダ)は、汎用的AIサービスの提供事業者(AI開発者・AI提供者)との間の契約に基づき基盤モデルを利用し、モジュールやデータベース等を新規に開発する。
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甲(再委託者、ベンダ)と乙(受託者、技術者)。
→原契約:契約条項は以下の契約書(当事務所の契約書ひながた、原契約書)の構成を踏襲し、甲(再委託者、ベンダ)が原契約書に基づきユーザに対して負う義務を乙(受託者、技術者)に課す内容としています。
生成AI導入支援・カスタマイズ型AIサービス構築・運用
業務委託基本契約書+個別契約書
https://akiraccyo.thebase.in/items/126174421
★カスタマイズ型AIサービスにはチャットボット以外にも多様な例があります。例えば、業界や用途ごとに特化したAIシステム(音声認識、画像解析、業務自動化など)が代表的です。本契約書ひながたは、これらのカスタマイズ型AIサービスに適用可能です。
★カスタマイズ型AIサービスの構築(開発・提供)に関する業務、及び運用(保守・運用)に関する業務の双方をカバーしています。
★末尾に「個別契約書」のサンプルを2つ付けています。
(その1:本件構築業務に関する内容)
(その2:本件運用業務に関する内容)
★【求償】
乙(技術者)がユーザに損害を与えたことにより甲(ベンダ)がユーザに損害賠償をした場合、乙(技術者)は、甲(ベンダ)からの求償に応じるものとしています。
★【委任契約(準委任契約)における再委託】
委任契約(準委任契約)は、受任者の技量が重視されるため、原則的に再委託(民法では「復委任」)は禁止されます。但し、受任者が委任者の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由がある場合には、再委託が可能となります(民法第644条の2)。
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民法第644条の2(復受任者の選任等)
第六百四十四条の二 受任者は、委任者の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復受任者を選任することができない。
2 代理権を付与する委任において、受任者が代理権を有する復受任者を選任したときは、復受任者は、委任者に対して、その権限の範囲内において、受任者と同一の権利を有し、義務を負う。
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★「フリーランス・事業者間取引適正化等法」に対応しています(特約を参照)。
→個人事業主への配慮: 特約として、安全・衛生、ハラスメント、育児介護等への配慮に関する規定を設けています。
→ご参考(当事務所HP):強行法規について|フリーランス・事業者間取引適正化等法
https://keiyaku.info/dk03.html
★ご参考(当事務所HP)
生成AI導入:社内研修サービスの取引設計、契約書の作成
https://keiyaku.info/data03.html
生成AI導入:導入前支援サービスの取引設計、契約書の作成
https://keiyaku.info/data04.html
生成AI導入:汎用的AIサービスのカスタマイズに関する取引設計、契約書の作成
https://keiyaku.info/data05.html
★「生成AI導入支援(再委託)・カスタマイズ型AIサービス構築・運用業務委託基本契約書+個別契約書」に含まれる条項
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第1条(定義等)
第1項:本契約書上で使用する用語の定義に関する規定です。
→ここでは、次の用語を定義しています:「本件サービス」「対象AIサービス」「対象ソフトウェア」「インプット」「アウトプット」「業務提供物」「提供資料」
→「業務提供物(甲及び/又は乙が本件業務を遂行する過程で、対象AIサービスに組み込むために新規に開発又は作成し、ユーザに提供するモジュール、データベース、インターフェース、技術文書、その他の資料のIP)」と「インプット/アウトプット(ユーザが甲に提供又は入力するデータ/インプットに基づき、本件サービスによって生成・出力された文章、画像、プログラムコード、その他のデータのIP)」を明確に区別しました。これにより、業務で提供されたもの、生成されたものに対する権利関係のトラブルを防ぎます。
第2項:本契約中で用いられる用語である「書面」には、電磁的記録が含まれるものとしています。(契約の電子化に対応しています。)
<定義規定の内容を以下に抜粋します>
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本契約中で用いられる以下の用語は、別段の定めのない限り、以下の各号に定める定義によるものとする。
(1)「ユーザ」とは、甲に本件業務を委託した事業者をいう。
(2)「原契約」とは、ユーザが甲に本件業務を委託し、甲がこれを受託するにあたって、ユーザと甲の間で締結した契約をいう。
(3)「本件サービス」とは、甲が本件業務の遂行によりユーザに提供する、ユーザの業態や製品・サービスに特化して改良・調整されたカスタマイズ型AIチャットボットサービス一式をいう。
(4)「本件構築業務」とは、本件業務のうち、カスタマイズ型AIチャットボットサービスの開発・提供に関する業務をいう。
(5)「本件運用業務」とは、本件業務のうち、カスタマイズ型AIチャットボットサービスの保守・運用に関する業務をいう。
(6)「対象AIサービス」とは、本件サービスの基盤モデルとして利用される、第三者が提供する汎用的AIサービスをいう。
(7)「対象ソフトウェア」とは、本件業務において使用・解説の対象となる、第三者が権利を有するソフトウェアであって、第三者からライセンスを受けるものをいう。
(8)「インプット」とは、本件サービスの利用、又は本件業務の遂行過程における開発・学習のために、ユーザが甲に提供又は入力するテキスト(プロンプト)、画像、音声、その他のデータをいう。
(9)「アウトプット」とは、インプットに基づき、本件サービスによって生成・出力された文章、画像、プログラムコード、その他のデータをいう。
(10)「業務提供物」とは、甲及び/又は乙が本件業務を遂行する過程で、対象AIサービスに組み込むために新規に開発又は作成し、ユーザに提供するモジュール、データベース、インターフェース、技術文書、その他の資料等の一切(本件サービスを構成する要素を含む)をいう。
(11)「提供資料」とは、本件業務の遂行にあたり、ユーザが甲に対し、本契約その他のユーザ及び甲が合意した書面に定める条件に従い提出する、本件業務の遂行に必要なユーザの業務フロー、内部規定、データ、その他の資料一切をいう。
2 本契約中で用いられる用語である「書面」には、電磁的記録が含まれるものとする。
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第2条(本契約の目的、業務内容、契約形態)
第1項:甲(ベンダ)は、甲がユーザから受託した本件業務(カスタマイズ型AIチャットボットサービスの開発及び提供に係る業務の全部又は一部を乙(技術者)に再委託し、乙はこれを受託するものとしています。
第2項:本件業務は、以下の2つの業務から構成されるものとし、具体的な業務内容、期間、対価、及び本件サービスの仕様は、個別契約及び/又は別紙仕様書で定めるものとしています。
・「本件構築業務」:カスタマイズ型AIチャットボットサービスの開発・提供
・「本件運用業務」:カスタマイズ型AIチャットボットサービスの保守・運用
第3項:本契約の契約形態は、業務提供物の提供又は提示が本件業務の成果に含まれる準委任契約(成果完成型準委任契約)であることを明記しています。
第3条(個別契約)
個別契約に関する規定です。
→個別契約には、注文書又は発注書ならびに見積書又は注文請書もしくは受注書等が含まれるものとしています。
→個別契約には、甲が乙に委託する個別具体的な業務の内容、業務提供物の仕様、期間、対価等の必要な事項を記載するものとしています。
→第2項に、本契約と個別契約間にて規定が異なった場合の取扱いを定めていますが、ここでは「個別契約が優先する」としています。もちろん「本契約が優先する」と規定することも可能ですが、個々の業務の実情に合わせた規定を個別契約に定めたほうが臨機応変に対応できることから、個別契約を優先させることが一般的です。
第4条(善管注意義務、非保証)
【善管注意義務(善良なる管理者の注意義務)】
善管注意義務とは、民法644条に基づき、委任を受けた受任者が委任者対し負う義務のことです。民法644条では「受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う」と規定されています。ある職業や社会的地位にある人が、その立場において社会通念上要求される注意を払う義務となります。
【非保証】
但し書以降:本件業務は生成AIシステムの開発及び提供を含むものであり、乙(技術者)が甲(ベンダ)に対して、ユーザの事業における本件サービスの具体的な性能、稼働率、アウトプットの完全性、特定目的への適合性、又はアウトプットに第三者の権利を侵害する情報が含まれないことについて、いかなる保証も行うものではない旨を明記しています。
第5条(再委託)
乙(技術者)が、甲(ベンダ)から受託した本件業務の全部又は一部を第三者に再委託することを禁止する規定です。
第6条(対価、費用及び支払方法)
第4項:甲の乙に対する金銭債務は、契約終了も弁済が完了するまで存続するものとしています。
第5項:甲が乙に対する金銭支払債務の履行を怠ったときは、法定利率の割合による遅延利息を乙に支払うものとしています。
→遅延利息の利率を法定利率より高くする場合(乙に有利とする場合)の規定例を以下に記載します。
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5 甲が、乙に対する金銭支払債務の履行を怠ったときは、甲は、支払期日の翌日から完済の日まで、年利14.6%の割合による遅延利息を乙に支払う。
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【遅延損害金等について】
ご参考:法務省|令和5年4月1日以降の法定利率について
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00317.html
→改正利息制限法の利息の上限利率は、例えば営業的金銭消費貸借で、元本額10万円未満の場合は20%です。ご参考:公証人連合会HP:https://www.koshonin.gr.jp/notary/ow05_1
→下請法や消費者契約法にならい年率14.6%としているケースが多いです。
【遅延損害金の計算】
例えば、10万円の支払い期日が8月31日だとして、実際の支払いが9月5日だったとします。遅延損害金は、以下のような計算となります。
(未払い金:10万円)×(年利:0.146)÷365日×(遅れた日数:5日)=200円
第7条(権利の帰属)
インプット、アウトプット、業務提供物及び提供資料を区別して権利帰属を定めています。
【業務提供物の権利帰属について】
基本契約では、業務提供物の権利帰属を「業務提供物に関する著作権(著作権法第27条及び第28条の権利を含む)その他一切の知的財産権は、甲又は甲に使用許諾した第三者に帰属する。乙は、本件業務の遂行に伴い発生する移転可能な権利(著作権法第27条及び第28条の権利を含む)を全て甲に譲渡するものとし、肖像権等の権利を主張しないものとする。」としています。
→甲(ベンダ)又は甲に使用許諾した第三者に帰属するものとしています。
→乙(技術者)の権利帰属とする場合は、別途、個別契約にて定めることになります。
第8条(対象AIサービスの取扱い)
本件サービスは「対象AIサービスの提供事業者との契約に基づき提供を受ける対象AIサービスを基盤として利用するカスタマイズサービス」であるため、原契約及び本契約の定めにより、ユーザ、甲及び乙は、本件サービスの提供及び利用において、対象AIサービスの提供事業者が定める利用に関する契約を遵守する必要があります。
第9条(対象ソフトウェアの取扱い)
対象ソフトウェア(第三者が権利を有するソフトウェア)の取扱いに関する規定です。
【対象ソフトウェアとして、生成AIツールを利用する場合】
第3項:
→乙は、当該生成AIツールを利用する際に、甲が指定する入力禁止情報を入力しないものとしています。
→乙は、当該生成AIツールより出力された情報についての真偽及び正確性等を合理的に可能な範囲で確認するものとしています。
第10条(インプットの取扱い・入力データの制限)
経済産業省「AIの利用・開発に関する契約チェックリスト」では、インプットがAIの学習に利用されるリスクが強調されています。生成AI導入前支援のフェーズであっても、ユーザが機密情報や個人情報を入力してしまうリスクがあるため、乙(技術者)が本件業務の遂行において、ユーザ及びユーザの役員・従業員が当該可能性を十分に認識していることを確認し、かつ、機密情報や個人情報を含むインプットを行わないよう、適切に指導するものとしています。
また、乙(技術者)がユーザ及びユーザの役員・従業員への指導を怠った結果、ユーザ又はユーザの役員・従業員が誤ったインプットを行ったことによりユーザに損害(情報の漏洩、第三者への権利侵害等を含む)が生じ、甲(ベンダ)がユーザに当該損害の賠償をした場合、乙(技術者)は、甲(ベンダ)からの求償に応じるものとしています。
第11条(アウトプットの取扱い)
アウトプットの取扱いについては、乙(技術者)が、本件業務の遂行に際してユーザ及びユーザの役員・従業員に説明すべき事項となります。
→乙(技術者)が、本件業務の遂行に際してアウトプットの取扱いについてユーザ及びユーザの役員・従業員に説明すべき事項について規定しています。
第12条(業務提供物の取扱い)
第13条(提供資料の取扱い)
第2項:乙(技術者)は、前項に基づき甲(ベンダ)から提供された提供資料に係る一切の知的財産権がユーザ又はユーザに使用許諾した第三者に帰属することを認識し、善良な管理者の注意をもって管理、保管し、かつ、本件業務以外の用途に使用してはならないものとしています。
第14条(業務遂行報告、業務遂行の確認)
準委任契約の場合、業務遂行の確認は、善管注意義務(善良なる管理者の注意義務)に従って業務が遂行されたかについての確認となります。
業務提供物の納入が乙の本件業務の内容に含まれる場合には、個別契約及び/又は別紙仕様書で定められた納入期限、納入場所その他の条件に従い、業務提供物を納入するものとしています。
第15条(債務不履行責任-準委任)
債務不履行責任に関する規定です。
→契約形態(成果完成型の準委任契約)に合わせた内容としています。
→第2項:「対価を減額する」及び/又は「ユーザに発生した損害を甲が賠償した場合に乙は甲からの求償に応じる」ものとしています。
→第3項:業務提供物に「不一致」が発見された場合に乙が債務不履行責任を負う期間を6か月以内としています。(この期間は契約で定めることができます。)
第16条(生成AIの特性、非保証及び免責)
乙(技術者)がユーザ及びユーザの役員・従業員に対し、生成AIの特性、非保証及び免責について、業務提供物を用いて十分に説明すべき項目について規定しています。
アウトプット(AI生成物)に関する非保証・免責を明確にしています。
第17条(本件サービスの保守及び運用)
本件サービスの保守及び運用業務(すなわち本件運用業務)に関する規定です。
第18条(設備・機器の使用、貸与)
乙(技術者)の故意又は過失によりユーザから貸与された設備・機器等の修理・調整・交換等の必要が生じ、それによってユーザに生じた損害を甲(ベンダ)が賠償した場合、乙(技術者)は、甲(ベンダ)からの求償に応じるものとしています。
第19条(秘密保持義務)
第20条(個人情報の取扱い)
第21条(損害賠償責任、不可抗力免責)
第1項:損害賠償責任に関する一般的な規定です。
→損害賠償の範囲を限定する規定を加えた、第1項の別例を以下に記載します。
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甲及び乙は、本契約又は個別契約に関し、故意又は過失により相手方に損害を与えたときには、それにより相手方が被った損害を賠償しなければならない。但し、甲及び乙は、相手方に現実に発生した通常かつ直接の損害に対して責任を負うものとし、相手方の履行利益に係る損害その他の間接損害については、賠償責任を負わないものとする。
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→「履行利益」とは、契約通り履行がされていれば得られたはずの利益のことをいいます。
→「履行利益」には、「逸失利益」と「履行されていれば発生しなかった出費」の双方が含まれます。
→「逸失利益」
例えば、甲から受託した業務を乙が遂行しなかった場合、これは乙の債務不履行になります。乙が遂行していれば甲が得られたはずの利益のことを逸失利益といいます。
→「履行されていれば発生しなかった出費」
乙が契約通り履行しなかったことにより、甲が出費を余儀なくされた場合は、「履行されていれば発生しなかった出費」が発生しています。
【損害賠償の範囲:民法関連条文】
下記条文(民法第416条)が規定する損害賠償の範囲では過大な場合は、契約にて損害賠償の責任範囲を限定します。
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民法第416条(損害賠償の範囲)
1.債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。
2.特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見し、又は予見することができたときは、債権者は、その賠償を請求することができる。
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第2項:乙(技術者)がユーザに損害を与えたことにより甲(ベンダ)がユーザに損害賠償をした場合、乙(技術者)は、甲(ベンダ)からの求償に応じるものとした規定です。
第3項:乙(技術者)が本件業務を行うにあたって故意又は過失によりユーザに損害を与えた場合であって、ユーザが乙(技術者)に対し当該損害に係る賠償請求をした場合、甲(ベンダ)は当該損害に係る賠償責任を負わない旨の規定です。
第4項:不可抗力免責に関する規定です。
第22条(権利譲義務の譲渡禁止)
第23条(契約期間、中途解約)
第1項:ここでは、本契約の有効期間を「 年 月 日から 年 月 日まで」と規定しています。(「本契約の締結日から〇年間」のように定めることもできます。)
【契約書の日付:過去に遡って契約を適用させたい場合】
→本契約の効力を契約締結日より前から遡及的に発生させたい場合は、「本契約の有効期間は、契約締結日にかかわらず 年 月 日より遡及的に効力を有するものとし、当該日から 年 月 日までとする。」のように規定します。
第4項:甲の乙に対する中途解約に関する規定です。
第5項:甲が中途解約した場合の、解約時点までに乙が実施した本件業務についての業務委託料のうち未払分の支払いに関する規定です。
第24条(契約解除)
本条項は、本契約の約定解除権について規定し、また損害賠償請求について注意的に規定しています。
民法上、相手方が契約上の債務を履行しない場合には、解除権が発生します (法定解除権、民法541条、543条)。本条項は、かかる法定解除権とは別に、約定で解除事由を付加し、また催告をしないで解除できることを定めています。
第25条(完全合意)
第26条(契約の変更)
第27条(暴力団等反社会的勢力排除条項)
第28条(準拠法、協議、紛争解決)
第3項:「甲の本店所在地を管轄する地方裁判所又は簡易裁判所」は、例えば「原告の所在地を管轄する地方裁判所又は簡易裁判所」「東京地方裁判所又は東京簡易裁判所」としてもよいです。
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【特約】
第29条(安全・衛生)
★「フリーランス・事業者間取引適正化等法」に対応するための規定です。
第1項:乙(技術者:受任者)が個人で業務に従事することを踏まえて、労働契約法第5条に準じて、甲(ベンダ:委任者)に対して乙(技術者:受任者)の生命、身体等の安全配慮を求めるものです。労働契約法第5条の「生命・身体等の安全」には、心身の健康も含まれるものとされていますので、本規定例においてもこれに準じて心身の健康も含めて配慮を求めるものとしています。
なお、フリーランス法では、甲(ベンダ:委任者)に対し、フリーランスである乙(技術者:受任者)に行われる各種ハラスメント(パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、マタニティハラスメント)について、フリーランスからの相談に対応するための体制整備 や、ハラスメントの防止・改善のために必要な措置を講じることを義務付けています(同法第14条)。そのため、法施行後、第1項は「~事故やハラスメントの防止等必要な措置を講じるものとする。」とすることが考えられます。
第2項:現場の安全衛生に関する責任体制の確立のため、スタッフの安全衛生管理を行う者を特定し、書面等により通知することが望ましいことから規定したものです。この規定例では、安全衛生管理者について書面等により通知することとしていますが、契約段階において安全衛生管理者が特定されている場合には、その氏名等について明示しておくことも考えられます。
第30条(ハラスメントに関する方針)
★「フリーランス・事業者間取引適正化等法」に対応するための規定です。
※以下の委任事業者には、フリーランスに対して「ハラスメント対策に係る体制整備」義務が発生します。
●フリーランスに業務委託をする事業者
●従業員を使⽤している
●⼀定の期間以上行う業務委託である
具体的なハラスメント対策措置としては、以下のような取組があります。
■ハラスメントに関する方針の策定
■相談窓口や責任者の設置と連絡先の明示
■撮影開始前に、ハラスメント防止に関する講座の実施
■ハラスメントの定義や事例を書面で周知
■ハラスメント発生時の対応フローを予め書面で周知
ハラスメント対策のガイドラインに関しては、指針を示し公表している業界団体も存在します。
一般公開されている様々なガイドラインや事例を参照し、映画制作現場ごとに、甲自らガイドラインを設けることも考えられます。
厚生労働省では、職場におけるハラスメント対策の周知用文章及びガイドライン事例が下記リンク先で具体的に示されています。
【参考】
「セクシャルハラスメント対策に関する周知用文書の例」
厚生労働省・都道府県労働局「(事業主向け)職場におけるセクシャルハラスメント対策に取り組みましょう!」より(令和6年1月5日閲覧)
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000333510.pdf
厚生労働省・山形労働局|雇用環境・均等室 ハラスメント対策・各種規定例ダウンロード(フリーランスに対するハラスメント対策の文書例がダウンロードできます)
https://jsite.mhlw.go.jp/yamagata-roudoukyoku/roudoukyoku/gyoumu_naiyou/koyoukankyoukintousitu/kiteirei.html
第31条(育児介護等に対する配慮)
★「フリーランス・事業者間取引適正化等法」に対応するための規定です。
フリーランス法上、業務委託が一定期間以上継続して行われるものである場合、発注者はフリーランスに対し、育児介護等と両立しつつ業務に従事できるよう、状況に応じた配慮をすることが求められています(同法第13条)。
第32条(SNS等の利用)
★SNS等の利用に関する規定です。
→乙が甲の事前承諾を得ることなく、本件業務に関してSNS等に投稿等をすると問題になります。
→「SNS等の利用に関する規程(ガイドライン)」を、別途制定することも考えられます。
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【個別契約書のサンプル(その1:本件構築業務に関する内容】
個別契約書のサンプル(その1:本件構築業務に関する内容)です。
→必要に応じて利用して下さい。
→個別契約を必ずこのフォーマットで作成する必要はありません。
→個別契約にしたい書面(電磁的記録を含みます)には、「この書面は 年 月 日付のカスタマイズ型AIサービス開発・保守業務委託基本契約に基づく個別契約です。この書面に定めなき事項及び解釈の疑義については、全て基本契約の規定によるものとします。」のような文章を記載します。
第1条(目的)
第2条(業務の遂行期間及び終了)
第3条(対価、費用及び支払方法)
第4条(特記事項:学習データ(インプット)の取扱い)
第5条(規定のない事項の取扱い)
【カスタマイズ型AIチャットボットサービス 仕様書】
----------------------------------------
【個別契約書のサンプル(その2:本件運用業務に関する内容)】
個別契約書のサンプル(その2:本件運用業務に関する内容)です。
→必要に応じて利用して下さい。
第1条(目的)
第2条(業務の遂行期間及び納入)
第3条(本件運用業務の内容)
第4条(対価、費用及び支払方法)
第5条(セキュリティ及びサービスの取扱い)
第6条(規定のない事項の取扱い)
【仕様書】
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★注釈・コメント付。WORDファイル形式で、ご自由にカスタマイズできます。
★当事務所側でのカスタマイズも承っています(別途お見積り)。
契約書作成eコース by M.B.A. 行政書士 岡田旭事務所
https://keiyaku.info




