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生成AI導入支援(再委託)・研修業務委託基本契約書+個別契約書
(生成AI導入支援(再委託)・研修業務委託基本契約書+個別契約書.docx)
【生成AI導入支援・コンサルティング会社必携】
【生成AI導入支援(再委託)・研修業務委託基本契約書+個別契約書】
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★「生成AI導入支援に係る研修業務(研修サービス)」を再委託する場合の、業務委託契約書のひながたです。
★【生成AI導入支援(研修業務)の、フリーランス講師への再委託】
この契約書は、以下の前提に基づいて作成されています。
1. 契約当事者:甲(再委託者、ベンダ)と乙(受託者、個人事業主である講師)。
2. 委託業務:甲がユーザから受託した「生成AI導入支援に係る研修業務(本件業務)」の全部又は一部を、甲が乙に再委託する。
3. 原契約:契約条項は以下の契約書(当事務所の契約書ひながた、原契約書)の構成を踏襲し、甲が原契約書に基づきユーザに対して負う義務を乙に課す内容とする。
生成AI導入支援・研修業務委託基本契約書+個別契約書
https://akiraccyo.thebase.in/items/125846507
4.経済産業省「AIの利用・開発に関する契約チェックリスト」を参考にして作成。
https://www.meti.go.jp/press/2024/02/20250218003/20250218003.html
→研修業務(研修サービス)の内容を、生成AI導入支援に係る「ライブ研修の実施」と「(アーカイブ動画の配信・提供による)オンデマンド研修の実施」という2つの業務を軸に構成しています。(講師はライブ研修を担当。)
★【求償】
乙(講師)がユーザに損害を与えたことにより甲(ベンダ)がユーザに損害賠償をした場合、乙(講師)は、甲(ベンダ)からの求償に応じるものとしています。
★【委任契約(準委任契約)における再委託】
委任契約(準委任契約)は、受任者の技量が重視されるため、原則的に再委託(民法では「復委任」)は禁止されます。但し、受任者が委任者の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由がある場合には、再委託が可能となります(民法第644条の2)。
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民法第644条の2(復受任者の選任等)
第六百四十四条の二 受任者は、委任者の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復受任者を選任することができない。
2 代理権を付与する委任において、受任者が代理権を有する復受任者を選任したときは、復受任者は、委任者に対して、その権限の範囲内において、受任者と同一の権利を有し、義務を負う。
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★「フリーランス・事業者間取引適正化等法」に対応しています。
→個人事業主への配慮: 特約として、安全・衛生、ハラスメント、育児介護等への配慮に関する規定を設けています。
→ご参考(当事務所HP):強行法規について|フリーランス・事業者間取引適正化等法
https://keiyaku.info/dk03.html
★その他ご参考(当事務所HP)
生成AI導入:社内研修サービスの取引設計、契約書の作成
https://keiyaku.info/data03.html
生成AI導入:導入前支援サービスの取引設計、契約書の作成
https://keiyaku.info/data04.html
生成AI導入:汎用的AIサービスのカスタマイズに関する取引設計、契約書の作成
https://keiyaku.info/data05.html
★「生成AI導入支援(再委託)・研修業務再委託基本契約書+個別契約書」に含まれる条項
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第1条(定義等)
第1項:本契約書上で使用する用語の定義に関する規定です。
→ここでは、次の用語を定義しています:「ユーザ」「原契約」「対象AIサービス」「対象ソフトウェア」「受講者」「インプット」「アウトプット」「ライブ研修」「研修資料」「提供資料」「アーカイブ動画」
→「研修資料(甲のIP)」と「インプット/アウトプット(ユーザ又はAI事業者のIP)」を明確に区別しました。これにより、研修で生成されたものに対する権利関係のトラブルを防ぎます。
→再委託先の講師(乙)は、(乙の独自資料を使用するのではなく)甲の研修資料を使用して研修サービスを実施することを前提としています。
第2項:本契約中で用いられる用語である「書面」には、電磁的記録が含まれるものとしています。(契約の電子化に対応しています。)
<定義規定の内容を以下に抜粋します>
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本契約中で用いられる以下の用語は、別段の定めのない限り、以下の各号に定める定義によるものとする。
(1)「ユーザ」とは、甲に本件業務を委託した事業者をいう。
(2)「原契約」とは、ユーザが甲に本件業務を委託し、甲がこれを受託するにあたって、ユーザと甲の間で締結した契約をいう。
(3)「対象AIサービス」とは、本件業務において使用・解説の対象となる、第三者が提供する生成AIサービスをいう。
(4)「対象ソフトウェア」とは、本件業務において使用・解説の対象となる、第三者が権利を有するソフトウェア(生成AIツール、サーバ用OS、クライアント用OS、ケースツール、開発ツール、通信ツール、コンパイラ、RDB等を含む。)であって、第三者からライセンスを受けるものをいう。
(5)「受講者」とは、ユーザ及び甲が原契約に基づき本件業務の対象として選定し、乙が研修を実施する者をいう。
(6)「インプット」とは、対象AIサービスを利用するために、ユーザ又は受講者が事前に用意又は本件業務の実施中に作成し、受講者が入力するテキスト(プロンプト)、画像、音声、その他のデータをいう。
(7)「アウトプット」とは、インプットに基づき、対象AIサービスによって生成・出力された文章、画像、プログラムコード、その他のデータをいう。
(8)「ライブ研修」とは、対面又はオンラインで即時に行う研修をいう。
(9)「研修資料」とは、本件業務の実施にあたり、甲がユーザ及び受講者ならびに乙に提供又は提示するテキスト、スライド、マニュアル、動画、画像等の資料一切をいう。
(10)「提供資料」とは、本件業務の実施にあたり、ユーザが甲に対し、原契約その他のユーザ及び甲が合意した書面に定める条件に従い提出する、本件業務の実施に必要な資料一切をいう。
(11)「アーカイブ動画」とは、研修資料のうち、乙が実施したライブ研修を録画したもの、又は甲もしくは乙が別途制作・編集し、オンデマンド形式で視聴可能にした研修用動画コンテンツをいう。
2 本契約中で用いられる用語である「書面」には、電磁的記録が含まれるものとする。
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第2条(本契約の目的、業務内容、契約形態)
第1項:甲は、甲がユーザから受託した本件業務の全部又は一部を乙に再委託し、乙はこれを受託するものとしています。
第2項:乙(講師)が実施する本件業務(AI導入支援に係る研修業務)は、主に「ライブ研修」であることを規定しています。
第3項:甲(ベンダ)が乙(講師)のライブ研修を録画してオンデマンド研修を実施することを想定した規定です。甲及び乙は、甲がアーカイブ動画の制作・配信・提供及び受講者への視聴アカウントの発行・管理により、オンデマンド研修を実施することについて合意するものとしています。
第4項:本契約の契約形態は、研修資料の提供又は提示が本件業務の成果に含まれる準委任契約(成果完成型準委任契約)であることを明記しています。
第3条(個別契約)
個別契約に関する規定です。
→個別契約には、注文書又は発注書ならびに見積書又は注文請書もしくは受注書等が含まれるものとしています。
→個別契約には、甲が乙に委託する個別具体的な業務の内容、研修資料の仕様、受講者の人数、期間、対価等の必要な事項を記載するものとしています。
→第2項に、本契約と個別契約間にて規定が異なった場合の取扱いを定めていますが、ここでは「個別契約が優先する」としています。もちろん「本契約が優先する」と規定することも可能ですが、個々の業務の実情に合わせた規定を個別契約に定めたほうが臨機応変に対応できることから、個別契約を優先させることが一般的です。
第4条(善管注意義務、非保証)
【善管注意義務(善良なる管理者の注意義務)】
善管注意義務とは、民法644条に基づき、委任を受けた受任者が委任者対し負う義務のことです。民法644条では「受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う」と規定されています。ある職業や社会的地位にある人が、その立場において社会通念上要求される注意を払う義務となります。
【非保証】
但し書以降:本件業務は受講者のAI活用スキルの向上を支援するものであり、乙が甲に対して、受講者のAI活用における具体的なスキル習得の達成や甲の業務における具体的な成果の達成を保証するものではない旨を明記しています。
→甲(ベンダ)がユーザに保証できないのと同様に、乙(講師)が甲(ベンダ)に保証できない内容でもあるため、この規定を残しています。
→「研修を受けたのに受講者ができるようにならなかった」というクレームを防ぐため、「受講者のAI活用における具体的なスキル習得の達成を保証するものではない」と明記しています。あくまで「教えること」が本件業務の範囲であることを明確にします。
第5条(再委託)
乙(講師)が、甲(ベンダ)から受託した本件業務の全部又は一部を第三者に再委託することを禁止する規定です。
第6条(対価、費用及び支払方法)
第4項:甲の乙に対する金銭債務は、契約終了も弁済が完了するまで存続するものとしています。
第5項:甲が乙に対する金銭支払債務の履行を怠ったときは、法定利率の割合による遅延利息を乙に支払うものとしています。
→遅延利息の利率を法定利率より高くする場合(乙に有利とする場合)の規定例を以下に記載します。
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5 甲が、乙に対する金銭支払債務の履行を怠ったときは、甲は、支払期日の翌日から完済の日まで、年利14.6%の割合による遅延利息を乙に支払う。
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【遅延損害金等について】
ご参考:法務省|令和5年4月1日以降の法定利率について
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00317.html
→改正利息制限法の利息の上限利率は、例えば営業的金銭消費貸借で、元本額10万円未満の場合は20%です。ご参考:公証人連合会HP:https://www.koshonin.gr.jp/notary/ow05_1
→下請法や消費者契約法にならい年率14.6%としているケースが多いです。
【遅延損害金の計算】
例えば、10万円の支払い期日が8月31日だとして、実際の支払いが9月5日だったとします。遅延損害金は、以下のような計算となります。
(未払い金:10万円)×(年利:0.146)÷365日×(遅れた日数:5日)=200円
第7条(キャンセルポリシー)
乙(講師)は、その日は他の案件を断ってスケジュールを確保しています。直前キャンセルは乙の売上機会の損失になるため、乙側としては、明確なキャンセル料を設定することが一般的です。
→日数は実際の運用に合わせて調整して下さい(もっと厳しくする、あるいは緩くするなど)。
第8条(アーカイブ動画の視聴環境とID管理)
アーカイブ動画の取扱いに関する規定です。甲(ベンダ)はユーザと締結する「原契約」で、以下の事項について定めるものとしています。
・甲(ベンダ)はユーザに対し、アーカイブ動画を視聴するためのID及びパスワードを受講者数分のみ発行すること。
・ユーザ及び受講者は、ID及びパスワードを受講者以外の甲の役員、従業員等を含む)第三者に利用させ、又は貸与、譲渡、売買等をしてはならないこと。(受講者1人に発行したID及びパスワードが甲の社内で使い回しされることを防ぐ規定です。)
第9条(権利の帰属)
インプット、アウトプット、研修資料及び提供資料を区別して権利帰属を定めています。
→「原契約」の定めにより、ユーザ又はユーザに使用許諾した第三者に帰属するものとした権利もあります。
→アーカイブ動画については、乙(講師)は制作その他の時期に発生する移転可能な権利(著作権法第27条及び第28条の権利を含む)を全て甲(ベンダ)に譲渡するものとし、肖像権等の権利を主張しないものとしています。
【研修資料の権利帰属について】
基本契約では、研修資料の権利帰属を「研修資料に関する著作権(著作権法第27条及び第28条の権利を含む)その他一切の知的財産権は、甲又は甲に使用許諾した第三者に帰属するものとしています。乙は、本件業務の実施に伴い発生する移転可能な権利(著作権法第27条及び第28条の権利を含む)を全て甲に譲渡するものとし、肖像権等の権利を主張しないものとする。」としています。
→甲(ベンダ)又は甲に使用許諾した第三者に帰属するものとしています。
→乙(講師)の権利帰属とする場合は、別途、個別契約にて定めることになります。
第10条(対象AIサービスの取扱い)
経済産業省「AIの利用・開発に関する契約チェックリスト」の「4.6 規約改定に関する留意点」に記載がある通り、海外ベンダー等の規約変更リスクを考慮した規定です。
第11条(対象ソフトウェアの取扱い)
対象ソフトウェア(第三者が権利を有するソフトウェア)の取扱いに関する規定です。
【対象ソフトウェアとして、生成AIツールを利用する場合】
第3項:
→乙は、当該生成AIツールを利用する際に、甲が指定する入力禁止情報を入力しないものとしています。
→乙は、当該生成AIツールより出力された情報についての真偽及び正確性等を合理的に可能な範囲で確認するものとしています。
第12条(インプットの取扱い・入力データの制限)
経済産業省「AIの利用・開発に関する契約チェックリスト」では、インプットがAIの学習に利用されるリスクが強調されています。研修中であっても、受講者が機密情報や個人情報を入力してしまう可能性(リスク)があるため、乙(講師)が本件業務の実施において、受講者が当該可能性を十分に認識していることを確認し、かつ、機密情報や個人情報を含むインプットを行わないよう、適切に指導するものとしています。
また、乙(講師)が受講者への指導を怠った結果、受講者が誤ったインプットを行ったことによりユーザに損害(情報の漏洩、第三者への権利侵害等を含む)が生じ、甲(ベンダ)がユーザに当該損害の賠償をした場合、乙(講師)は、甲(ベンダ)からの求償に応じるものとしています。
第13条(アウトプットの取扱い)
アウトプットの取扱いについては、乙(講師)が、本件業務の実施に際して受講者に説明すべき事項となります。
→乙(講師)が、本件業務の実施に際してアウトプットの取扱いについて受講者に説明すべき事項について規定しています。
第14条(研修資料の取扱い)
甲(ベンダ)は乙(講師)に対し、本件業務の実施に必要な研修資料を提供するものとしています。また、研修資料に関する乙(講師)の禁止行為、乙(講師)が受講者に指導すべき事項について規定しています。
第15条(提供資料の取扱い)
第2項:乙(講師)は、前項に基づき甲(ベンダ)から提供された提供資料に係る一切の知的財産権がユーザ又はユーザに使用許諾した第三者に帰属することを認識し、善良な管理者の注意をもって管理、保管し、かつ、本件業務以外の用途に使用してはならないものとしています。
第16条(業務実施報告、業務実施の確認)
準委任契約の場合、業務実施の確認は、善管注意義務(善良なる管理者の注意義務)に従って業務が実施されたかについての確認となります。
第17条(債務不履行責任-準委任)
債務不履行責任に関する規定です。
→契約形態(成果完成型の準委任契約)に合わせた内容としています。
→「対価を減額する」及び/又は「ユーザに発生した損害を甲が賠償した場合に乙は甲からの求償に応じる」ものとしています。
第18条(生成AIの特性、非保証及び免責)
乙(講師)が受講者に対し、生成AIの特性、非保証及び免責について、研修資料を用いて十分に説明すべき項目について規定しています。
ユーザ側の甲に対する「研修で教わった通りに出力したが、内容が間違っていて損害が出た」等のクレームを防ぐため、アウトプット(AI生成物)に関する非保証・免責を明確にしています。
第19条(設備・機器の使用、貸与)
乙の故意又は過失によりユーザから貸与された設備・機器等の修理・調整・交換等の必要が生じ、それによってユーザに生じた損害を甲が賠償した場合、乙は、甲からの求償に応じるものとしています。
第20条(秘密保持義務)
第21条(個人情報の取扱い)
第22条(損害賠償責任、不可抗力免責)
第1項:損害賠償責任に関する一般的な規定です。
→損害賠償の範囲を限定する規定を加えた、第1項の別例を以下に記載します。
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甲及び乙は、本契約又は個別契約に関し、故意又は過失により相手方に損害を与えたときには、それにより相手方が被った損害を賠償しなければならない。但し、甲及び乙は、相手方に現実に発生した通常かつ直接の損害に対して責任を負うものとし、相手方の履行利益に係る損害その他の間接損害については、賠償責任を負わないものとする。
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→「履行利益」とは、契約通り履行がされていれば得られたはずの利益のことをいいます。
→「履行利益」には、「逸失利益」と「履行されていれば発生しなかった出費」の双方が含まれます。
→「逸失利益」
例えば、甲から受託した業務を乙が実施しなかった場合、これは乙の債務不履行になります。乙が実施していれば甲が得られたはずの利益のことを逸失利益といいます。
→「履行されていれば発生しなかった出費」
乙が契約通り履行しなかったことにより、甲が出費を余儀なくされた場合は、「履行されていれば発生しなかった出費」が発生しています。
【損害賠償の範囲:民法関連条文】
下記条文(民法第416条)が規定する損害賠償の範囲では過大な場合は、契約にて損害賠償の責任範囲を限定します。
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民法第416条(損害賠償の範囲)
1.債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。
2.特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見し、又は予見することができたときは、債権者は、その賠償を請求することができる。
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第2項:乙がユーザに損害を与えたことにより甲がユーザに損害賠償をした場合、乙は、甲からの求償に応じるものとした規定です。
第3項:乙が本件業務を行うにあたって故意又は過失によりユーザに損害を与えた場合であって、ユーザが乙に対し当該損害に係る賠償請求をした場合、甲は当該損害に係る賠償責任を負わない旨の規定です。
第4項:不可抗力免責に関する規定です。
第23条(権利譲義務の譲渡禁止)
第24条(契約期間、中途解約)
第1項:ここでは、本契約の有効期間を「 年 月 日から 年 月 日まで」と規定しています。(「本契約の締結日から〇年間」のように定めることもできます。)
また、有効期間の自動更新に関する規定も付けています。(不要な場合は削除して下さい。)
【契約書の日付:過去に遡って契約を適用させたい場合】
→本契約の効力を契約締結日より前から遡及的に発生させたい場合は、「本契約の有効期間は、契約締結日にかかわらず 年 月 日より遡及的に効力を有するものとし、当該日から 年 月 日までとする。」のように規定します。
第4項:甲の乙に対する中途解約に関する規定です。
第5項:甲が中途解約した場合の、解約時点までに乙が実施した本件業務についての業務委託料のうち未払分の支払いに関する規定です。
第25条(契約解除)
本条項は、本契約の約定解除権について規定し、また損害賠償請求について注意的に規定しています。
民法上、相手方が契約上の債務を履行しない場合には、解除権が発生します (法定解除権、民法541条、543条)。本条項は、かかる法定解除権とは別に、約定で解除事由を付加し、また催告をしないで解除できることを定めています。
第26条(完全合意)
第27条(契約の変更)
第28条(暴力団等反社会的勢力排除条項)
第29条(準拠法、協議、紛争解決)
第3項:「甲の本店所在地を管轄する地方裁判所又は簡易裁判所」は、例えば「原告の所在地を管轄する地方裁判所又は簡易裁判所」「東京地方裁判所又は東京簡易裁判所」としてもよいです。
【特約】
第30条(安全・衛生)
★「フリーランス・事業者間取引適正化等法」に対応するための規定です。
第1項:乙(講師:受任者)が個人で業務に従事することを踏まえて、労働契約法第5条に準じて、甲(ベンダ:委任者)に対して乙(講師:受任者)の生命、身体等の安全配慮を求めるものです。労働契約法第5条の「生命・身体等の安全」には、心身の健康も含まれるものとされていますので、本規定例においてもこれに準じて心身の健康も含めて配慮を求めるものとしています。
なお、フリーランス法では、甲(ベンダ:委任者)に対し、フリーランスである乙(講師:受任者)に行われる各種ハラスメント(パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、マタニティハラスメント)について、フリーランスからの相談に対応するための体制整備 や、ハラスメントの防止・改善のために必要な措置を講じることを義務付けています(同法第14条)。そのため、法施行後、第1項は「~事故やハラスメントの防止等必要な措置を講じるものとする。」とすることが考えられます。
第2項:現場の安全衛生に関する責任体制の確立のため、スタッフの安全衛生管理を行う者を特定し、書面等により通知することが望ましいことから規定したものです。この規定例では、安全衛生管理者について書面等により通知することとしていますが、契約段階において安全衛生管理者が特定されている場合には、その氏名等について明示しておくことも考えられます。
第31条(ハラスメントに関する方針)
★「フリーランス・事業者間取引適正化等法」に対応するための規定です。
※以下の委任事業者には、フリーランスに対して「ハラスメント対策に係る体制整備」義務が発生します。
●フリーランスに業務委託をする事業者
●従業員を使⽤している
●⼀定の期間以上行う業務委託である
具体的なハラスメント対策措置としては、以下のような取組があります。
■ハラスメントに関する方針の策定
■相談窓口や責任者の設置と連絡先の明示
■撮影開始前に、ハラスメント防止に関する講座の実施
■ハラスメントの定義や事例を書面で周知
■ハラスメント発生時の対応フローを予め書面で周知
ハラスメント対策のガイドラインに関しては、指針を示し公表している業界団体も存在します。
一般公開されている様々なガイドラインや事例を参照し、映画制作現場ごとに、甲自らガイドラインを設けることも考えられます。
厚生労働省では、職場におけるハラスメント対策の周知用文章及びガイドライン事例が下記リンク先で具体的に示されています。
【参考】
「セクシャルハラスメント対策に関する周知用文書の例」
厚生労働省・都道府県労働局「(事業主向け)職場におけるセクシャルハラスメント対策に取り組みましょう!」より(令和6年1月5日閲覧)
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000333510.pdf
厚生労働省・山形労働局|雇用環境・均等室 ハラスメント対策・各種規定例ダウンロード(フリーランスに対するハラスメント対策の文書例がダウンロードできます)
https://jsite.mhlw.go.jp/yamagata-roudoukyoku/roudoukyoku/gyoumu_naiyou/koyoukankyoukintousitu/kiteirei.html
第32条(育児介護等に対する配慮)
★「フリーランス・事業者間取引適正化等法」に対応するための規定です。
フリーランス法上、業務委託が一定期間以上継続して行われるものである場合、発注者はフリーランスに対し、育児介護等と両立しつつ業務に従事できるよう、状況に応じた配慮をすることが求められています(同法第13条)。
第33条(SNS等の利用)
★SNS等の利用に関する規定です。
→乙が甲の事前承諾を得ることなく、本件業務に関してSNS等に投稿等をすると問題になります。
→「SNS等の利用に関する規程(ガイドライン)」を、別途制定することも考えられます。
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【個別契約書】
個別契約書のサンプルです。必要に応じて利用して下さい。
→個別契約を必ずこのフォーマットで作成する必要はありません。
→個別契約にしたい書面(電磁的記録を含みます)には、「この書面は 年 月 日付のAI導入支援・研修業務委託基本契約に基づく個別契約です。この書面に定めなき事項及び解釈の疑義については、全て基本契約の規定によるものとします。」のような文章を記載します。
第1条(目的)
第2条(業務の実施)
第3条(対価)
第4条(規定のない事項の取扱い)
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1. 契約当事者:甲(再委託者、ベンダ)と乙(受託者、個人事業主である講師)。
2. 委託業務:甲がユーザから受託した「生成AI導入支援に係る研修業務(本件業務)」の全部又は一部を、甲が乙に再委託する。
3. 原契約:契約条項は以下の契約書(当事務所の契約書ひながた、原契約書)の構成を踏襲し、甲が原契約書に基づきユーザに対して負う義務を乙に課す内容とする。
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★【求償】
乙(講師)がユーザに損害を与えたことにより甲(ベンダ)がユーザに損害賠償をした場合、乙(講師)は、甲(ベンダ)からの求償に応じるものとしています。
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委任契約(準委任契約)は、受任者の技量が重視されるため、原則的に再委託(民法では「復委任」)は禁止されます。但し、受任者が委任者の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由がある場合には、再委託が可能となります(民法第644条の2)。
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民法第644条の2(復受任者の選任等)
第六百四十四条の二 受任者は、委任者の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復受任者を選任することができない。
2 代理権を付与する委任において、受任者が代理権を有する復受任者を選任したときは、復受任者は、委任者に対して、その権限の範囲内において、受任者と同一の権利を有し、義務を負う。
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★「フリーランス・事業者間取引適正化等法」に対応しています。
→個人事業主への配慮: 特約として、安全・衛生、ハラスメント、育児介護等への配慮に関する規定を設けています。
→ご参考(当事務所HP):強行法規について|フリーランス・事業者間取引適正化等法
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★その他ご参考(当事務所HP)
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第1条(定義等)
第1項:本契約書上で使用する用語の定義に関する規定です。
→ここでは、次の用語を定義しています:「ユーザ」「原契約」「対象AIサービス」「対象ソフトウェア」「受講者」「インプット」「アウトプット」「ライブ研修」「研修資料」「提供資料」「アーカイブ動画」
→「研修資料(甲のIP)」と「インプット/アウトプット(ユーザ又はAI事業者のIP)」を明確に区別しました。これにより、研修で生成されたものに対する権利関係のトラブルを防ぎます。
→再委託先の講師(乙)は、(乙の独自資料を使用するのではなく)甲の研修資料を使用して研修サービスを実施することを前提としています。
第2項:本契約中で用いられる用語である「書面」には、電磁的記録が含まれるものとしています。(契約の電子化に対応しています。)
<定義規定の内容を以下に抜粋します>
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本契約中で用いられる以下の用語は、別段の定めのない限り、以下の各号に定める定義によるものとする。
(1)「ユーザ」とは、甲に本件業務を委託した事業者をいう。
(2)「原契約」とは、ユーザが甲に本件業務を委託し、甲がこれを受託するにあたって、ユーザと甲の間で締結した契約をいう。
(3)「対象AIサービス」とは、本件業務において使用・解説の対象となる、第三者が提供する生成AIサービスをいう。
(4)「対象ソフトウェア」とは、本件業務において使用・解説の対象となる、第三者が権利を有するソフトウェア(生成AIツール、サーバ用OS、クライアント用OS、ケースツール、開発ツール、通信ツール、コンパイラ、RDB等を含む。)であって、第三者からライセンスを受けるものをいう。
(5)「受講者」とは、ユーザ及び甲が原契約に基づき本件業務の対象として選定し、乙が研修を実施する者をいう。
(6)「インプット」とは、対象AIサービスを利用するために、ユーザ又は受講者が事前に用意又は本件業務の実施中に作成し、受講者が入力するテキスト(プロンプト)、画像、音声、その他のデータをいう。
(7)「アウトプット」とは、インプットに基づき、対象AIサービスによって生成・出力された文章、画像、プログラムコード、その他のデータをいう。
(8)「ライブ研修」とは、対面又はオンラインで即時に行う研修をいう。
(9)「研修資料」とは、本件業務の実施にあたり、甲がユーザ及び受講者ならびに乙に提供又は提示するテキスト、スライド、マニュアル、動画、画像等の資料一切をいう。
(10)「提供資料」とは、本件業務の実施にあたり、ユーザが甲に対し、原契約その他のユーザ及び甲が合意した書面に定める条件に従い提出する、本件業務の実施に必要な資料一切をいう。
(11)「アーカイブ動画」とは、研修資料のうち、乙が実施したライブ研修を録画したもの、又は甲もしくは乙が別途制作・編集し、オンデマンド形式で視聴可能にした研修用動画コンテンツをいう。
2 本契約中で用いられる用語である「書面」には、電磁的記録が含まれるものとする。
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第2条(本契約の目的、業務内容、契約形態)
第1項:甲は、甲がユーザから受託した本件業務の全部又は一部を乙に再委託し、乙はこれを受託するものとしています。
第2項:乙(講師)が実施する本件業務(AI導入支援に係る研修業務)は、主に「ライブ研修」であることを規定しています。
第3項:甲(ベンダ)が乙(講師)のライブ研修を録画してオンデマンド研修を実施することを想定した規定です。甲及び乙は、甲がアーカイブ動画の制作・配信・提供及び受講者への視聴アカウントの発行・管理により、オンデマンド研修を実施することについて合意するものとしています。
第4項:本契約の契約形態は、研修資料の提供又は提示が本件業務の成果に含まれる準委任契約(成果完成型準委任契約)であることを明記しています。
第3条(個別契約)
個別契約に関する規定です。
→個別契約には、注文書又は発注書ならびに見積書又は注文請書もしくは受注書等が含まれるものとしています。
→個別契約には、甲が乙に委託する個別具体的な業務の内容、研修資料の仕様、受講者の人数、期間、対価等の必要な事項を記載するものとしています。
→第2項に、本契約と個別契約間にて規定が異なった場合の取扱いを定めていますが、ここでは「個別契約が優先する」としています。もちろん「本契約が優先する」と規定することも可能ですが、個々の業務の実情に合わせた規定を個別契約に定めたほうが臨機応変に対応できることから、個別契約を優先させることが一般的です。
第4条(善管注意義務、非保証)
【善管注意義務(善良なる管理者の注意義務)】
善管注意義務とは、民法644条に基づき、委任を受けた受任者が委任者対し負う義務のことです。民法644条では「受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う」と規定されています。ある職業や社会的地位にある人が、その立場において社会通念上要求される注意を払う義務となります。
【非保証】
但し書以降:本件業務は受講者のAI活用スキルの向上を支援するものであり、乙が甲に対して、受講者のAI活用における具体的なスキル習得の達成や甲の業務における具体的な成果の達成を保証するものではない旨を明記しています。
→甲(ベンダ)がユーザに保証できないのと同様に、乙(講師)が甲(ベンダ)に保証できない内容でもあるため、この規定を残しています。
→「研修を受けたのに受講者ができるようにならなかった」というクレームを防ぐため、「受講者のAI活用における具体的なスキル習得の達成を保証するものではない」と明記しています。あくまで「教えること」が本件業務の範囲であることを明確にします。
第5条(再委託)
乙(講師)が、甲(ベンダ)から受託した本件業務の全部又は一部を第三者に再委託することを禁止する規定です。
第6条(対価、費用及び支払方法)
第4項:甲の乙に対する金銭債務は、契約終了も弁済が完了するまで存続するものとしています。
第5項:甲が乙に対する金銭支払債務の履行を怠ったときは、法定利率の割合による遅延利息を乙に支払うものとしています。
→遅延利息の利率を法定利率より高くする場合(乙に有利とする場合)の規定例を以下に記載します。
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5 甲が、乙に対する金銭支払債務の履行を怠ったときは、甲は、支払期日の翌日から完済の日まで、年利14.6%の割合による遅延利息を乙に支払う。
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【遅延損害金等について】
ご参考:法務省|令和5年4月1日以降の法定利率について
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00317.html
→改正利息制限法の利息の上限利率は、例えば営業的金銭消費貸借で、元本額10万円未満の場合は20%です。ご参考:公証人連合会HP:https://www.koshonin.gr.jp/notary/ow05_1
→下請法や消費者契約法にならい年率14.6%としているケースが多いです。
【遅延損害金の計算】
例えば、10万円の支払い期日が8月31日だとして、実際の支払いが9月5日だったとします。遅延損害金は、以下のような計算となります。
(未払い金:10万円)×(年利:0.146)÷365日×(遅れた日数:5日)=200円
第7条(キャンセルポリシー)
乙(講師)は、その日は他の案件を断ってスケジュールを確保しています。直前キャンセルは乙の売上機会の損失になるため、乙側としては、明確なキャンセル料を設定することが一般的です。
→日数は実際の運用に合わせて調整して下さい(もっと厳しくする、あるいは緩くするなど)。
第8条(アーカイブ動画の視聴環境とID管理)
アーカイブ動画の取扱いに関する規定です。甲(ベンダ)はユーザと締結する「原契約」で、以下の事項について定めるものとしています。
・甲(ベンダ)はユーザに対し、アーカイブ動画を視聴するためのID及びパスワードを受講者数分のみ発行すること。
・ユーザ及び受講者は、ID及びパスワードを受講者以外の甲の役員、従業員等を含む)第三者に利用させ、又は貸与、譲渡、売買等をしてはならないこと。(受講者1人に発行したID及びパスワードが甲の社内で使い回しされることを防ぐ規定です。)
第9条(権利の帰属)
インプット、アウトプット、研修資料及び提供資料を区別して権利帰属を定めています。
→「原契約」の定めにより、ユーザ又はユーザに使用許諾した第三者に帰属するものとした権利もあります。
→アーカイブ動画については、乙(講師)は制作その他の時期に発生する移転可能な権利(著作権法第27条及び第28条の権利を含む)を全て甲(ベンダ)に譲渡するものとし、肖像権等の権利を主張しないものとしています。
【研修資料の権利帰属について】
基本契約では、研修資料の権利帰属を「研修資料に関する著作権(著作権法第27条及び第28条の権利を含む)その他一切の知的財産権は、甲又は甲に使用許諾した第三者に帰属するものとしています。乙は、本件業務の実施に伴い発生する移転可能な権利(著作権法第27条及び第28条の権利を含む)を全て甲に譲渡するものとし、肖像権等の権利を主張しないものとする。」としています。
→甲(ベンダ)又は甲に使用許諾した第三者に帰属するものとしています。
→乙(講師)の権利帰属とする場合は、別途、個別契約にて定めることになります。
第10条(対象AIサービスの取扱い)
経済産業省「AIの利用・開発に関する契約チェックリスト」の「4.6 規約改定に関する留意点」に記載がある通り、海外ベンダー等の規約変更リスクを考慮した規定です。
第11条(対象ソフトウェアの取扱い)
対象ソフトウェア(第三者が権利を有するソフトウェア)の取扱いに関する規定です。
【対象ソフトウェアとして、生成AIツールを利用する場合】
第3項:
→乙は、当該生成AIツールを利用する際に、甲が指定する入力禁止情報を入力しないものとしています。
→乙は、当該生成AIツールより出力された情報についての真偽及び正確性等を合理的に可能な範囲で確認するものとしています。
第12条(インプットの取扱い・入力データの制限)
経済産業省「AIの利用・開発に関する契約チェックリスト」では、インプットがAIの学習に利用されるリスクが強調されています。研修中であっても、受講者が機密情報や個人情報を入力してしまう可能性(リスク)があるため、乙(講師)が本件業務の実施において、受講者が当該可能性を十分に認識していることを確認し、かつ、機密情報や個人情報を含むインプットを行わないよう、適切に指導するものとしています。
また、乙(講師)が受講者への指導を怠った結果、受講者が誤ったインプットを行ったことによりユーザに損害(情報の漏洩、第三者への権利侵害等を含む)が生じ、甲(ベンダ)がユーザに当該損害の賠償をした場合、乙(講師)は、甲(ベンダ)からの求償に応じるものとしています。
第13条(アウトプットの取扱い)
アウトプットの取扱いについては、乙(講師)が、本件業務の実施に際して受講者に説明すべき事項となります。
→乙(講師)が、本件業務の実施に際してアウトプットの取扱いについて受講者に説明すべき事項について規定しています。
第14条(研修資料の取扱い)
甲(ベンダ)は乙(講師)に対し、本件業務の実施に必要な研修資料を提供するものとしています。また、研修資料に関する乙(講師)の禁止行為、乙(講師)が受講者に指導すべき事項について規定しています。
第15条(提供資料の取扱い)
第2項:乙(講師)は、前項に基づき甲(ベンダ)から提供された提供資料に係る一切の知的財産権がユーザ又はユーザに使用許諾した第三者に帰属することを認識し、善良な管理者の注意をもって管理、保管し、かつ、本件業務以外の用途に使用してはならないものとしています。
第16条(業務実施報告、業務実施の確認)
準委任契約の場合、業務実施の確認は、善管注意義務(善良なる管理者の注意義務)に従って業務が実施されたかについての確認となります。
第17条(債務不履行責任-準委任)
債務不履行責任に関する規定です。
→契約形態(成果完成型の準委任契約)に合わせた内容としています。
→「対価を減額する」及び/又は「ユーザに発生した損害を甲が賠償した場合に乙は甲からの求償に応じる」ものとしています。
第18条(生成AIの特性、非保証及び免責)
乙(講師)が受講者に対し、生成AIの特性、非保証及び免責について、研修資料を用いて十分に説明すべき項目について規定しています。
ユーザ側の甲に対する「研修で教わった通りに出力したが、内容が間違っていて損害が出た」等のクレームを防ぐため、アウトプット(AI生成物)に関する非保証・免責を明確にしています。
第19条(設備・機器の使用、貸与)
乙の故意又は過失によりユーザから貸与された設備・機器等の修理・調整・交換等の必要が生じ、それによってユーザに生じた損害を甲が賠償した場合、乙は、甲からの求償に応じるものとしています。
第20条(秘密保持義務)
第21条(個人情報の取扱い)
第22条(損害賠償責任、不可抗力免責)
第1項:損害賠償責任に関する一般的な規定です。
→損害賠償の範囲を限定する規定を加えた、第1項の別例を以下に記載します。
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甲及び乙は、本契約又は個別契約に関し、故意又は過失により相手方に損害を与えたときには、それにより相手方が被った損害を賠償しなければならない。但し、甲及び乙は、相手方に現実に発生した通常かつ直接の損害に対して責任を負うものとし、相手方の履行利益に係る損害その他の間接損害については、賠償責任を負わないものとする。
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→「履行利益」とは、契約通り履行がされていれば得られたはずの利益のことをいいます。
→「履行利益」には、「逸失利益」と「履行されていれば発生しなかった出費」の双方が含まれます。
→「逸失利益」
例えば、甲から受託した業務を乙が実施しなかった場合、これは乙の債務不履行になります。乙が実施していれば甲が得られたはずの利益のことを逸失利益といいます。
→「履行されていれば発生しなかった出費」
乙が契約通り履行しなかったことにより、甲が出費を余儀なくされた場合は、「履行されていれば発生しなかった出費」が発生しています。
【損害賠償の範囲:民法関連条文】
下記条文(民法第416条)が規定する損害賠償の範囲では過大な場合は、契約にて損害賠償の責任範囲を限定します。
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民法第416条(損害賠償の範囲)
1.債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。
2.特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見し、又は予見することができたときは、債権者は、その賠償を請求することができる。
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第2項:乙がユーザに損害を与えたことにより甲がユーザに損害賠償をした場合、乙は、甲からの求償に応じるものとした規定です。
第3項:乙が本件業務を行うにあたって故意又は過失によりユーザに損害を与えた場合であって、ユーザが乙に対し当該損害に係る賠償請求をした場合、甲は当該損害に係る賠償責任を負わない旨の規定です。
第4項:不可抗力免責に関する規定です。
第23条(権利譲義務の譲渡禁止)
第24条(契約期間、中途解約)
第1項:ここでは、本契約の有効期間を「 年 月 日から 年 月 日まで」と規定しています。(「本契約の締結日から〇年間」のように定めることもできます。)
また、有効期間の自動更新に関する規定も付けています。(不要な場合は削除して下さい。)
【契約書の日付:過去に遡って契約を適用させたい場合】
→本契約の効力を契約締結日より前から遡及的に発生させたい場合は、「本契約の有効期間は、契約締結日にかかわらず 年 月 日より遡及的に効力を有するものとし、当該日から 年 月 日までとする。」のように規定します。
第4項:甲の乙に対する中途解約に関する規定です。
第5項:甲が中途解約した場合の、解約時点までに乙が実施した本件業務についての業務委託料のうち未払分の支払いに関する規定です。
第25条(契約解除)
本条項は、本契約の約定解除権について規定し、また損害賠償請求について注意的に規定しています。
民法上、相手方が契約上の債務を履行しない場合には、解除権が発生します (法定解除権、民法541条、543条)。本条項は、かかる法定解除権とは別に、約定で解除事由を付加し、また催告をしないで解除できることを定めています。
第26条(完全合意)
第27条(契約の変更)
第28条(暴力団等反社会的勢力排除条項)
第29条(準拠法、協議、紛争解決)
第3項:「甲の本店所在地を管轄する地方裁判所又は簡易裁判所」は、例えば「原告の所在地を管轄する地方裁判所又は簡易裁判所」「東京地方裁判所又は東京簡易裁判所」としてもよいです。
【特約】
第30条(安全・衛生)
★「フリーランス・事業者間取引適正化等法」に対応するための規定です。
第1項:乙(講師:受任者)が個人で業務に従事することを踏まえて、労働契約法第5条に準じて、甲(ベンダ:委任者)に対して乙(講師:受任者)の生命、身体等の安全配慮を求めるものです。労働契約法第5条の「生命・身体等の安全」には、心身の健康も含まれるものとされていますので、本規定例においてもこれに準じて心身の健康も含めて配慮を求めるものとしています。
なお、フリーランス法では、甲(ベンダ:委任者)に対し、フリーランスである乙(講師:受任者)に行われる各種ハラスメント(パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、マタニティハラスメント)について、フリーランスからの相談に対応するための体制整備 や、ハラスメントの防止・改善のために必要な措置を講じることを義務付けています(同法第14条)。そのため、法施行後、第1項は「~事故やハラスメントの防止等必要な措置を講じるものとする。」とすることが考えられます。
第2項:現場の安全衛生に関する責任体制の確立のため、スタッフの安全衛生管理を行う者を特定し、書面等により通知することが望ましいことから規定したものです。この規定例では、安全衛生管理者について書面等により通知することとしていますが、契約段階において安全衛生管理者が特定されている場合には、その氏名等について明示しておくことも考えられます。
第31条(ハラスメントに関する方針)
★「フリーランス・事業者間取引適正化等法」に対応するための規定です。
※以下の委任事業者には、フリーランスに対して「ハラスメント対策に係る体制整備」義務が発生します。
●フリーランスに業務委託をする事業者
●従業員を使⽤している
●⼀定の期間以上行う業務委託である
具体的なハラスメント対策措置としては、以下のような取組があります。
■ハラスメントに関する方針の策定
■相談窓口や責任者の設置と連絡先の明示
■撮影開始前に、ハラスメント防止に関する講座の実施
■ハラスメントの定義や事例を書面で周知
■ハラスメント発生時の対応フローを予め書面で周知
ハラスメント対策のガイドラインに関しては、指針を示し公表している業界団体も存在します。
一般公開されている様々なガイドラインや事例を参照し、映画制作現場ごとに、甲自らガイドラインを設けることも考えられます。
厚生労働省では、職場におけるハラスメント対策の周知用文章及びガイドライン事例が下記リンク先で具体的に示されています。
【参考】
「セクシャルハラスメント対策に関する周知用文書の例」
厚生労働省・都道府県労働局「(事業主向け)職場におけるセクシャルハラスメント対策に取り組みましょう!」より(令和6年1月5日閲覧)
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000333510.pdf
厚生労働省・山形労働局|雇用環境・均等室 ハラスメント対策・各種規定例ダウンロード(フリーランスに対するハラスメント対策の文書例がダウンロードできます)
https://jsite.mhlw.go.jp/yamagata-roudoukyoku/roudoukyoku/gyoumu_naiyou/koyoukankyoukintousitu/kiteirei.html
第32条(育児介護等に対する配慮)
★「フリーランス・事業者間取引適正化等法」に対応するための規定です。
フリーランス法上、業務委託が一定期間以上継続して行われるものである場合、発注者はフリーランスに対し、育児介護等と両立しつつ業務に従事できるよう、状況に応じた配慮をすることが求められています(同法第13条)。
第33条(SNS等の利用)
★SNS等の利用に関する規定です。
→乙が甲の事前承諾を得ることなく、本件業務に関してSNS等に投稿等をすると問題になります。
→「SNS等の利用に関する規程(ガイドライン)」を、別途制定することも考えられます。
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【個別契約書】
個別契約書のサンプルです。必要に応じて利用して下さい。
→個別契約を必ずこのフォーマットで作成する必要はありません。
→個別契約にしたい書面(電磁的記録を含みます)には、「この書面は 年 月 日付のAI導入支援・研修業務委託基本契約に基づく個別契約です。この書面に定めなき事項及び解釈の疑義については、全て基本契約の規定によるものとします。」のような文章を記載します。
第1条(目的)
第2条(業務の実施)
第3条(対価)
第4条(規定のない事項の取扱い)
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★注釈・コメント付。WORDファイル形式で、ご自由にカスタマイズできます。
★当事務所側でのカスタマイズも承っています(別途お見積り)。
契約書作成eコース by M.B.A. 行政書士 岡田旭事務所
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