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データ分析業務委託契約書_匿名加工情報(生成AI分析対応)
(データ分析業務委託契約書_匿名加工情報(生成AI分析対応).docx)
【データ分析業務委託契約書_匿名加工情報(生成AI分析対応)】
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★データ(匿名加工情報)を提供する事業者(甲)が、そのデータの分析に関する業務をデータ分析事業者(乙)に委託するための契約書です。
★取引の対象となるデータは「匿名加工情報」となるよう適切に加工されたもの(個人情報保護法第2条第6項)である旨を規定しています。
→特定の個人を識別することができる「個人情報」は、取引の対象となるデータから除外されます。
★乙は、自ら選定した生成AIを用いた分析もできるものとしています。
【取引の一例】
Web サイト運営事業者(甲)が当該Webサイトのユーザーから取得したデータを、当該データを分析する事業者(乙)に提供し、そのデータの分析及び分析結果の報告に関する業務を委託する。
→取引対象になるデータの例:ユーザーがWebサイトのサービスを利用する際に、当該サービスを提供する事業者(甲)によって取得される、商品の購入履歴や利用日時、Web サイトや当該サイト上に掲載された広告の閲覧履歴等。
<個人情報>
→ここで、取引対象になるデータが個人情報を含む場合、Webサイトのユーザーに対しては、当該Webサイトの利用規約や個人情報保護方針(プライバシーポリシー)により、取引対象になるデータの提供について同意を得ておくことが必要となります。
<匿名加工情報>
→いっぽう、顧客の個人情報を「匿名加工情報」として他社(第三者)に提供する場合、あらかじめ顧客の同意を得ておく必要はありません。
匿名加工情報は、個人情報保護法に定められた一定の基準に従って、氏名や住所など個人を特定できる情報を削除または加工し、元の個人情報が復元できない状態にしたものです。このため、個人情報としての厳格な保護義務が緩和されており、第三者提供時にも本人の同意は不要とされています。
但し、事業者は以下の義務を負います。(これらの要件を満たせば、顧客の同意なしに第三者へ匿名加工情報を提供できます。)
・公表義務:匿名加工情報を第三者に提供するときは、提供する情報の項目や提供方法をあらかじめ公表しなければなりません。
・明示義務:提供先に対して、その情報が匿名加工情報である旨を明示する必要があります。
・識別行為の禁止:匿名加工情報から元の個人情報を識別する行為をしてはなりません。
★データに知的財産権が認められる場合にも対応しています。
★提供データの分析に係る対価を「固定料金」とした場合と「従量課金」とした場合のそれぞれについて、規定例を記載しています。
【ご参考:仮名加工情報について】
2022年改正個人情報保護法において、「仮名加工情報」が創設されました。仮名加工情報とは、他の情報と照合しない限り個人を識別することができないように個人情報を加工して得られる個人に関する情報をいいます。仮名加工情報とすることで、漏洩時の本人通知が不要となるほか、本人から求められても利用停止などに応じる必要がなくなります(個人情報保護法第41条第9項、第26条、第35条)。
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仮名加工情報は、法令に基づく場合を除くほか、第三者提供は認められません(個人情報保護法第第41条第6項、第42条第1項)。これは、仮名加工情報を作成する前に本人の同意を得ていた場合であっても、同様です。
但し、委託、事業承継、又は共同利用の場合には、提供元の仮名加工情報取扱事業者と提供先の事業者を一体として取り扱うことに合理性があるため、仮名加工情報を提供することは可能です(個人情報保護法第41条第6項により読み替えて適用される同法第27条第5項各号、同法第42条第2項により読み替えて準用される同法第27条第5項各号)。
なお、仮名加工情報の作成の元となった個人データについては、本人の事前の同意を得て第三者提供することは可能です。
→引用:個人情報保護委員会|FAQ|仮名加工情報を第三者に提供することはできますか。仮名加工情報を作成する前に、本人から同意を得ていた場合はどうですか
https://www.ppc.go.jp/all_faq_index/faq1-q14-17/
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★これより、仮名加工情報は、社内利用もしくは委託、事業承継、又は共同利用を行う場合であって、情報漏洩のリスクを低減したい場合に有用となります。
★「仮名加工情報」の分析を業務委託する場合
・「仮名加工情報」を定義する規定をおく必要があります。
・個人情報保護法の以下の条項に定められている、仮名加工情報取扱事業者が負う義務に関する規定をおく必要があります。
→安全管理措置(個人情報保護法第42条第3項、第23条)、従業者の監督(同法42条3項、第24条)、委託先の監督(同法42条3項、第25条)、個人情報取扱事業者による苦情の処理(同法42条3項、第35条)、照合禁止(同法第42条3項、第41条第7項)、電話・郵便・送信・訪問目的での連絡先等の利用禁止(同法第42条第3項、第41条第8項)
★これより、仮名加工情報は、社内利用もしくは委託、事業承継、又は共同利用を行う場合であって、情報漏洩のリスクを低減したい場合に有用となります。
★【ご参考(個人情報保護委員会)】
FAQ索引(仮名加工情報編、匿名加工情報編をご参照下さい)
https://www.ppc.go.jp/all_faq_index/
★【ご参考(当事務所HP)】
ビッグデータの提供・利活用に関する契約書、利用規約
http://keiyaku.info/data01.html
AI・データ分析に関する取引設計、契約書作成
https://keiyaku.info/data02.html
データベース利用契約書、使用許諾契約書の作成
https://keiyaku.info/web11.html
プライバシーポリシー、個人情報保護方針の作成
https://keiyaku.info/web04.html
★「データ分析業務委託契約書_匿名加工情報(生成AI分析対応)」に含まれる条項
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第1条(定義)
定義規定です。
第1号:「但し、個人を識別できる情報は含まない。」は、個人情報を提供するデータの対象から除外したい場合(個人情報保護法2条6項に規定する匿名加工情報を提供する場合を含む)に記載して下さい。
第2号:ここに記載した「本目的」の定義は一例です。(必要に応じて変更して下さい。)
【データに生じる権利について】
定義規定です。
第1号:「提供データ」を定義しています。
→個人情報保護法(個人情報の保護に関する法律)第2条第6項に規定する匿名加工情報であって、本契約に基づいて甲から乙に提供される、本書末尾の「要綱」に詳細を定めるものとしました。)
→個人情報保護法は、匿名加工情報を作成してそれを第三者に提供するときは、当該第三者に対し、当該提供に係る情報が匿名加工情報である旨を明示しなければならない(同法第43条第4項)としている点にも注意が必要です。
第2号:「本件目的」を定義しています。
→甲が提供データの分析に関する業務を乙に委託する目的であって、本書末尾の「要綱」にその概要を定めるものとしました。
【データに生じる権利について】
「所有権」:データは有体物ではないので、所有権の対象にはなりません。
(データの複製物を格納したUSB等の電磁的記憶媒体は有体物なので、所有権の対象にはなります。)
「著作権」:「データベースの著作物」に該当すれば、著作物として法的保護を受けます。
(データベースの著作物に該当しないケースも多いと考えられます。)
ご参考:データベースと著作権(-J-Stage-科学技術振興機構)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/johokanri/55/2/55_2_125/_html/-char/ja
「営業秘密」:営業秘密とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいいます(不正競争防止法第2上第6項)。
これに合致する内容のデータであれば、営業秘密として法的保護を受けます。
「不法行為(民法709条)」:データを不正に取得した第三者に対し、民法709条に基づく損害賠償請求をすることができる場合があります。
【個人情報の利活用と保護】
2017年5月30日施行の改正個人情報保護法では、個人情報の定義が厳格に定められ、本人が特定できないよう加工されれば、個人情報をビッグデータとして利活用できることが目指されています。
ご参考:個人情報の利活用と保護に関するハンドブック(個人情報保護委員会)
https://www.ppc.go.jp/files/pdf/personal_280229sympo_pamph.pdf
第2条(業務委託)
第1項:甲は乙に対し、甲が提供する提供データを本件目的のために分析し、その結果を甲に報告する業務(以下「本件業務」という。)を委託し、乙はこれを受諾する旨を規定しています。
第2項:乙は、本件業務を、善良な管理者の注意をもって遂行する旨を規定しています。
→民法第644条は、「受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う」と定めており、本項はこれに則った規定となります。
第3条(データの提供)
第1項:提供するデータの提供方法、形式・仕様(データの項目・件数・粒度・精度など)を明示します。
なお、データの形式・仕様は、データ取得時の外部環境により変更せざるを得ない場合もあるため、仕様が変更される場合があることについても規定しておきます。
第2項:提供するデータの提供方法を明示します。
→データを提供する「期間」「頻度」「手段」を明示します。
例1:甲がデータベースにアップロードし、当該データベースに乙がインターネット経由で随時にアクセスし、ダウンロードする方法
例2:本契約の有効期間中、毎月○回、甲が、提供データのファイルを電子メールに添付して乙に送付する方法
例3:本契約の有効期間中、毎月○回、甲が、提供データのファイルをUSB等の電磁的記録媒体に格納して乙に送付する方法
第3項:本契約は、甲が乙以外の第三者に提供データを提供することを妨げるものではない(乙に対して独占的に提供するものではない)ことを規定しています。
第4項:甲乙それぞれの責任者(業務責任者)に関する規定です。業務責任者の氏名、所属、連絡先等は本書末尾の「要綱」に定めるものとしています。
第5項:業務責任者の権限及び責任に関する規定です。
第6項:甲乙双方の確認事項に関する規定です。
※(念のため記載していますが、提供データが個人情報/個人データを含まない場合は不要ですので、削除して下さい。)
※ちなみに、提供データが個人情報を含む場合は、個人情報保護法によって確認が義務付けられている事項があります。
【「個人情報取扱事業者」の、データを提供した場合の義務】
個人情報取扱事業者は、個人データを第三者に提供したときは、個人情報保護委員会規則で定めるところにより、当該個人データを提供した年月日、当該第三者の氏名又は名称その他の個人情報保護委員会規則で定める事項に関する記録を作成しなければなりません
(個人情報保護法29条1項)。また、当該記録を、作成した日から個人情報保護委員会規則で定める期間保存しなければなりません(同条2項)。
→なお、当該記録は、個人データを提供する都度作成するのが原則ですが、継続的に提供する場合には、一括して作成することも認められています(個人情報保護法施行規則12条2項)。
(データを継続的に提供・受領する契約においては、締結時に確認し、それを記録することで足ります。)
【「個人情報取扱事業者」の、データを受領した場合の義務】
個人情報取扱事業者は、第三者から個人データの提供を受けるに際しては、個人情報保護委員会規則で定めるところにより、次に掲げる事項の確認を行わなければなりません(個人情報保護法30条1項)。
(1)当該第三者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものにあっては、その代表者又は管理人)の氏名
(2)当該第三者による当該個人データの取得の経緯
また、取得の経緯等を確認したことについての記録が義務付けられ(同条3項)、かつ、その記録を一定期間保存することが義務付けられています(同条4項)。
→なお、当該記録は、個人データを受領する都度作成するのが原則ですが、継続的にデータを受領する場合、データを受領するごとに確認、記録義務が生じるのではなく、一括して記録を作成することが認められています(個人情報保護法施行規則16条2項)。
(データを継続的に提供・受領する契約においては、締結時に確認し、それを記録することで足ります。)
★この第6項及び別紙「提供データの提供・受領に関する確認事項」は、データ提供者(甲)とデータ受領者(乙)の双方が、「個人情報取扱事業者」の義務を履行していることを意識して定めた内容としています。
第4条(分析方法、分析結果の納入・検査)
第1項:乙が提供データを分析する方法について規定しています。
→本書末尾の「要綱」に定める方法により分析するものとしました。
→乙が選定した生成AIを用いて分析できるものとしています。
第2項:乙が甲に対して提供データの分析結果を納入する旨の規定です。
→ここでは、「本契約の有効期間中、○○○○年○○月を開始月として毎月○○日までに、提供データの分析結果を納入する」旨を規定しています。
→提供データの分析結果報告を単発とする場合の第2項の規定例も記載しています。
第3項〜第5項:乙が納入した分析結果の検査に関する規定です。
第5条(契約不適合責任)
契約不適合責任に関する規定です。
→甲が所定の期間内に契約不適合を発見した場合、乙に請求できる内容について規定しています。
第6条(表明保証)
甲が乙に提供するデータに関し、甲による表明保証について規定しています。
第1項:提供データが第三者の知的財産権、その他一切の権利を侵害するものでないことを表明保証しています。
第2項:提供データが、適法、適切な方法によって取得されたものであることを表明保証しています。
第3項:提供データが、ウィルスなどの混入がなく、安全であることを表明保証しています。
第4項:提供データが「匿名加工情報」となるよう、適切に加工されたものであることを表明保証しています。
第5項:甲が、個人情報保護法に定められた個人情報取扱事業者及び匿名加工情報取扱事業者の義務を遵守していることを表明保証しています。
ご参考:匿名加工情報制度について(個人情報保護委員会)
https://www.ppc.go.jp/personalinfo/tokumeikakouInfo/
【別例1】
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○ 甲は、提供データが第三者の知的財産権その他の権利を侵害しないものであることを保証しない。
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→提供データが第三者の知的財産権その他の権利を侵害しないものであることを保証しない旨の規定例です。
【別例2】
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○ 甲は乙に対し、本契約に基づいて行う個人情報を含む提供データの提供について、権利主体である本人の同意を得ていることを表明し、保証する。
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→提供データが個人情報を含むデータである場合、権利主体である本人の同意を得ていることの保証に関する規定例です。
【別例3】
----------------------------------------------------------------------------
○甲は乙に対し、提供データが正確であることを保証しない。
----------------------------------------------------------------------------
→提供データが正確であることを保証しない旨の規定例です。
第7条(秘密保持義務)
秘密保持義務に関する規定です。
第8条(損失軽減義務、遵守事項等)
乙の損失軽減義務(第1〜3項)、乙の禁止事項(第4、5項)、甲及び乙の遵守事項(第6項)に関する規定です。
第1項:乙における「善管注意義務、個人情報保護法等の遵守、営業秘密の維持」について規定しています。
第2項:乙によるデータ漏洩のおそれが発生した場合の措置に関する規定です。
第3項:乙のよるデータ漏洩が発生した場合の義務に関する規定です。
第4項:乙は、甲の事前承諾なくして、本件目的以外の目的で提供データの加工、編集、第三者提供その他の利用を行ってはならないことを規定しています。
第5項:データが「匿名加工情報」であることを想定し、乙が提供データを取り扱うにあたって個人を識別する行為を禁止しています。
第6項:前各項に定める他、甲及び乙は、本契約の規定、個人情報保護法その他関連法令、所管官庁のガイドラインを遵守するものとしています。
第9条(営業秘密、知的財産権)
第1項:データが「営業秘密」として管理されていることを規定しています。
第2項・第3項:データに知的財産権が認められる場合の規定例です。
(データに知的財産権が認められない場合は削除して下さい。第5条タイトルの「、データの知的財産権」も削除して下さい。
→この第2項・第3項は、「提供データ」、及びそれを元にして乙が本件業務の遂行を通じて得た分析結果及び乙が作成した派生データや加工データなどの成果物の知的財産権が甲に帰属するものとした場合の規定例です。
→「提供データ」に知的財産権が認められなくても、それを元に乙が本件業務の遂行を通じて得た分析結果及び乙が作成した派生データや加工データなどの成果物に知的財産権が認められる場合があります。
(例えば、乙が「提供データ」を元に、著作権法で定められた「データベースの著作物」に該当するデータベースを作成した場合。)
この場合、第2項のみ削除し、第3項は残して下さい(新第2項として下さい)。
※なお、データの分析結果を乙が利用する場合はそれほどないと想定されることから、通常は、分析結果についての知的財産権も甲に帰属するとしてよいでしょう。
→第2項・第3項の別例も記載しています。
(「提供データ」の知的財産権は甲に帰属するものとし、「提供データ」を元に乙が本件業務の遂行を通じて得た分析結果及び乙が作成した派生データや加工データなどの成果物の知的財産権は乙に帰属するものとした場合)
第10条(対応責任)
甲と乙の対応責任について規定しています。
第1項:甲の、「提供データに起因して生じたクレームや請求に関する対応責任」について規定しています。
第2項:乙の、「乙による本契約に違反する態様での提供データの利用に起因もしくは関連して生じたクレームや請求に関する対応責任」について規定しています。
第11条(使用状況)
甲による、乙のデータ使用状況の監査に関する規定です。
第1項:甲は乙に対し、提供データの使用状況の報告を求めることができる旨を規定しています。
第2項:甲は、前項に定められた乙によるデータ使用状況の報告が十分ではないと判断した場合、乙による提供データの使用状況の監査を実施することができる旨を規定しています。
第3項:甲は、前項に定められた監査の結果、乙が本契約に違反して提供データを使用又は利用していたことが発覚した場合、乙は甲に対し監査に要した費用及びデータ使用に係る追加の対価その他甲に生じた損害を支払うものとしています。
第12条(管理状況)
甲による、乙のデータ管理状況の確認と是正勧告に関する規定です。
第1項:甲は乙に対し、データ管理状況の報告を求めることができ、漏えい等のおそれがあると判断した場合は管理方法の是正を求めることができる旨を規定しています。
第2項:乙は、前項の報告又は是正の要求に速やかに応じなければならないとしています。
第13条(対価及び支払方法)
対価及び支払方法に関する規定です。ここでは、対価を月額固定料金としています。
第1項:提供データの提供に係る対価を毎月の固定額としています。
第2項:乙は甲に対し、本契約の有効期間中、対価に消費税及び地方消費税相当額を加算した金額を、第4条に定める分析結果の報告を乙から受けたことを条件として、当該報告を受けた月の翌月の所定日までに、乙指定の銀行口座へ振り込むことにより、対価を支払うものとしています。
【別例その1】
対価を従量料金とした第13条の別例も記載しています。
→従量課金の場合、対価の額は「単価」×「数量」に応じて決定されます。
「数量」に用いる数値としては、例えば「アカウント数」「ソフトウェアのライセンス数」「APIのコール数」等が考えられます。
【別例その2】
提供データの分析結果報告を単発とする場合の第13条の別例も記載しています。
第14条(権利義務の譲渡の禁止)
契約上の権利義務の譲渡の禁止を定める規定です。
第15条(契約の有効期間)
契約の有効期間に関する規定です。
第1項:但し書き以降は、期間を1年毎の自動更新とした場合の規定例です。
第16条(契約解除)
一般的な当事者の意思として、一度成立した契約は履行されることが好ましく、また、些細な違反について即時に契約解除を主張されたのでは支障を生じる場合もあるので、解除事由のうち契約違反については一定の催告期間を設ける場合が多いです。
いっぽう、信用不安に基づく解除権については、解除権の行使も視野に入れてすみやかに債権回収を図る必要があることから、債権者としては催告手続きを要しないことを明記しておく必要があります。
第17条(提供データの廃棄又は消去、契約終了後の措置)
提供データの廃棄に関する規定です。
第1項:本契約例の終了又は解除の際の提供データの使用又は利用の停止、ならびに廃棄又は消去に関する規定です。
→分析結果や分析結果から分離できない提供データについては、廃棄又は消去をする対象から外しています。
第2項:甲が乙に対し、提供データの廃棄又は消去を請求した場合の規定です。
→分析結果や分析結果から分離できない提供データについても、同様に廃棄又は消去をする対象としています。
第3項:前項の請求により乙に損害が発生した場合、甲は、その損害を賠償するものとした規定です。
第4項:甲は乙に対し、提供データがすべて廃棄又は消去されたことを証する書面又は電磁的記録の提出を求めることができる旨の規定です。
第18条(損害賠償、免責)
第1項:甲及び乙の、相手方に対する損害賠償に関する規定です。
第1項の赤字箇所は、損害賠償の範囲を限定するものです。(必要に応じて、全部又は一部を残すか削除して下さい。)
「履行利益」とは、契約通り履行がされていれば得られたはずの利益のことをいいます。
「履行利益」には、「逸失利益」と「履行されていれば発生しなかった出費」の双方が含まれます。
「逸失利益」
例えば、甲から提供されたデータを乙が分析できなくなった場合、これは乙の債務不履行になります。この場合にもし乙がデータが分析して、甲がその結果を取得できていれば甲が得られたはずの利益のことを逸失利益といいます。
「履行されていれば発生しなかった出費」
乙が契約通り履行しなかったことにより、甲が出費を余儀なくされた場合は、「履行されていれば発生しなかった出費」が発生しています。
履行利益を含むその損害の全てを賠償する旨を明示する規定例も記載しています。
【損害賠償の範囲:民法関連条文】
下記条文(民法第416条)が規定する損害賠償の範囲では過大な場合は、契約にて損害賠償の責任範囲を限定します。
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民法第416条(損害賠償の範囲)
1.債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。
2.特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見し、又は予見することができたときは、債権者は、その賠償を請求することができる。
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第2項:分析結果について、乙が責任を負わない旨の規定です。
→業務委託の結果については責任を負わないとするのが一般的です。
但し、分析業務につき乙の善管注意義務違反があった場合は、乙は責任を負うものと解されます。
第3項:不可抗力免責に関する規定です。
第19条(完全合意)
第20条(契約の変更)
第21条(再委託)
再委託に関する規定です。
→ここでは、乙は本件業務を第三者に再委託することはできないものとしています。
→再委託を可能とする場合の第21条の別例も記載しています。
第22条(反社会的勢力の排除)
反社会的勢力の排除に関する規定です。
警察庁と金融庁が中心となり策定された平成19年(2007年)6月19日付「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」の中で「反社会的勢力が取引先や株主となって、不当要求を行う場合の被害を防止するため、契約書や取引約款に暴力団排除条項を導入する」ことが推奨され、契約の相手方が「反社会的勢力」(「暴力団」より広い概念)であることが判明した場合には当該契約を直ちに解除することができるとする条項を加えることが一般的になってきています。
第23条(準拠法)
第24条(協議、紛争解決)
第2項「〇〇地方裁判所又は〇〇簡易裁判所」の別例として、以下が挙げられます。
「甲の本店所在地を管轄する地方裁判所又は簡易裁判所」
「原告の所在地を管轄する地方裁判所又は簡易裁判所」
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【要綱】
提供データの要綱例を2つ付けています。
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★乙は、自ら選定した生成AIを用いた分析もできるものとしています。
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→ここで、取引対象になるデータが個人情報を含む場合、Webサイトのユーザーに対しては、当該Webサイトの利用規約や個人情報保護方針(プライバシーポリシー)により、取引対象になるデータの提供について同意を得ておくことが必要となります。
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★提供データの分析に係る対価を「固定料金」とした場合と「従量課金」とした場合のそれぞれについて、規定例を記載しています。
【ご参考:仮名加工情報について】
2022年改正個人情報保護法において、「仮名加工情報」が創設されました。仮名加工情報とは、他の情報と照合しない限り個人を識別することができないように個人情報を加工して得られる個人に関する情報をいいます。仮名加工情報とすることで、漏洩時の本人通知が不要となるほか、本人から求められても利用停止などに応じる必要がなくなります(個人情報保護法第41条第9項、第26条、第35条)。
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仮名加工情報は、法令に基づく場合を除くほか、第三者提供は認められません(個人情報保護法第第41条第6項、第42条第1項)。これは、仮名加工情報を作成する前に本人の同意を得ていた場合であっても、同様です。
但し、委託、事業承継、又は共同利用の場合には、提供元の仮名加工情報取扱事業者と提供先の事業者を一体として取り扱うことに合理性があるため、仮名加工情報を提供することは可能です(個人情報保護法第41条第6項により読み替えて適用される同法第27条第5項各号、同法第42条第2項により読み替えて準用される同法第27条第5項各号)。
なお、仮名加工情報の作成の元となった個人データについては、本人の事前の同意を得て第三者提供することは可能です。
→引用:個人情報保護委員会|FAQ|仮名加工情報を第三者に提供することはできますか。仮名加工情報を作成する前に、本人から同意を得ていた場合はどうですか
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★これより、仮名加工情報は、社内利用もしくは委託、事業承継、又は共同利用を行う場合であって、情報漏洩のリスクを低減したい場合に有用となります。
★「仮名加工情報」の分析を業務委託する場合
・「仮名加工情報」を定義する規定をおく必要があります。
・個人情報保護法の以下の条項に定められている、仮名加工情報取扱事業者が負う義務に関する規定をおく必要があります。
→安全管理措置(個人情報保護法第42条第3項、第23条)、従業者の監督(同法42条3項、第24条)、委託先の監督(同法42条3項、第25条)、個人情報取扱事業者による苦情の処理(同法42条3項、第35条)、照合禁止(同法第42条3項、第41条第7項)、電話・郵便・送信・訪問目的での連絡先等の利用禁止(同法第42条第3項、第41条第8項)
★これより、仮名加工情報は、社内利用もしくは委託、事業承継、又は共同利用を行う場合であって、情報漏洩のリスクを低減したい場合に有用となります。
★【ご参考(個人情報保護委員会)】
FAQ索引(仮名加工情報編、匿名加工情報編をご参照下さい)
https://www.ppc.go.jp/all_faq_index/
★【ご参考(当事務所HP)】
ビッグデータの提供・利活用に関する契約書、利用規約
http://keiyaku.info/data01.html
AI・データ分析に関する取引設計、契約書作成
https://keiyaku.info/data02.html
データベース利用契約書、使用許諾契約書の作成
https://keiyaku.info/web11.html
プライバシーポリシー、個人情報保護方針の作成
https://keiyaku.info/web04.html
★「データ分析業務委託契約書_匿名加工情報(生成AI分析対応)」に含まれる条項
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第1条(定義)
定義規定です。
第1号:「但し、個人を識別できる情報は含まない。」は、個人情報を提供するデータの対象から除外したい場合(個人情報保護法2条6項に規定する匿名加工情報を提供する場合を含む)に記載して下さい。
第2号:ここに記載した「本目的」の定義は一例です。(必要に応じて変更して下さい。)
【データに生じる権利について】
定義規定です。
第1号:「提供データ」を定義しています。
→個人情報保護法(個人情報の保護に関する法律)第2条第6項に規定する匿名加工情報であって、本契約に基づいて甲から乙に提供される、本書末尾の「要綱」に詳細を定めるものとしました。)
→個人情報保護法は、匿名加工情報を作成してそれを第三者に提供するときは、当該第三者に対し、当該提供に係る情報が匿名加工情報である旨を明示しなければならない(同法第43条第4項)としている点にも注意が必要です。
第2号:「本件目的」を定義しています。
→甲が提供データの分析に関する業務を乙に委託する目的であって、本書末尾の「要綱」にその概要を定めるものとしました。
【データに生じる権利について】
「所有権」:データは有体物ではないので、所有権の対象にはなりません。
(データの複製物を格納したUSB等の電磁的記憶媒体は有体物なので、所有権の対象にはなります。)
「著作権」:「データベースの著作物」に該当すれば、著作物として法的保護を受けます。
(データベースの著作物に該当しないケースも多いと考えられます。)
ご参考:データベースと著作権(-J-Stage-科学技術振興機構)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/johokanri/55/2/55_2_125/_html/-char/ja
「営業秘密」:営業秘密とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいいます(不正競争防止法第2上第6項)。
これに合致する内容のデータであれば、営業秘密として法的保護を受けます。
「不法行為(民法709条)」:データを不正に取得した第三者に対し、民法709条に基づく損害賠償請求をすることができる場合があります。
【個人情報の利活用と保護】
2017年5月30日施行の改正個人情報保護法では、個人情報の定義が厳格に定められ、本人が特定できないよう加工されれば、個人情報をビッグデータとして利活用できることが目指されています。
ご参考:個人情報の利活用と保護に関するハンドブック(個人情報保護委員会)
https://www.ppc.go.jp/files/pdf/personal_280229sympo_pamph.pdf
第2条(業務委託)
第1項:甲は乙に対し、甲が提供する提供データを本件目的のために分析し、その結果を甲に報告する業務(以下「本件業務」という。)を委託し、乙はこれを受諾する旨を規定しています。
第2項:乙は、本件業務を、善良な管理者の注意をもって遂行する旨を規定しています。
→民法第644条は、「受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う」と定めており、本項はこれに則った規定となります。
第3条(データの提供)
第1項:提供するデータの提供方法、形式・仕様(データの項目・件数・粒度・精度など)を明示します。
なお、データの形式・仕様は、データ取得時の外部環境により変更せざるを得ない場合もあるため、仕様が変更される場合があることについても規定しておきます。
第2項:提供するデータの提供方法を明示します。
→データを提供する「期間」「頻度」「手段」を明示します。
例1:甲がデータベースにアップロードし、当該データベースに乙がインターネット経由で随時にアクセスし、ダウンロードする方法
例2:本契約の有効期間中、毎月○回、甲が、提供データのファイルを電子メールに添付して乙に送付する方法
例3:本契約の有効期間中、毎月○回、甲が、提供データのファイルをUSB等の電磁的記録媒体に格納して乙に送付する方法
第3項:本契約は、甲が乙以外の第三者に提供データを提供することを妨げるものではない(乙に対して独占的に提供するものではない)ことを規定しています。
第4項:甲乙それぞれの責任者(業務責任者)に関する規定です。業務責任者の氏名、所属、連絡先等は本書末尾の「要綱」に定めるものとしています。
第5項:業務責任者の権限及び責任に関する規定です。
第6項:甲乙双方の確認事項に関する規定です。
※(念のため記載していますが、提供データが個人情報/個人データを含まない場合は不要ですので、削除して下さい。)
※ちなみに、提供データが個人情報を含む場合は、個人情報保護法によって確認が義務付けられている事項があります。
【「個人情報取扱事業者」の、データを提供した場合の義務】
個人情報取扱事業者は、個人データを第三者に提供したときは、個人情報保護委員会規則で定めるところにより、当該個人データを提供した年月日、当該第三者の氏名又は名称その他の個人情報保護委員会規則で定める事項に関する記録を作成しなければなりません
(個人情報保護法29条1項)。また、当該記録を、作成した日から個人情報保護委員会規則で定める期間保存しなければなりません(同条2項)。
→なお、当該記録は、個人データを提供する都度作成するのが原則ですが、継続的に提供する場合には、一括して作成することも認められています(個人情報保護法施行規則12条2項)。
(データを継続的に提供・受領する契約においては、締結時に確認し、それを記録することで足ります。)
【「個人情報取扱事業者」の、データを受領した場合の義務】
個人情報取扱事業者は、第三者から個人データの提供を受けるに際しては、個人情報保護委員会規則で定めるところにより、次に掲げる事項の確認を行わなければなりません(個人情報保護法30条1項)。
(1)当該第三者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものにあっては、その代表者又は管理人)の氏名
(2)当該第三者による当該個人データの取得の経緯
また、取得の経緯等を確認したことについての記録が義務付けられ(同条3項)、かつ、その記録を一定期間保存することが義務付けられています(同条4項)。
→なお、当該記録は、個人データを受領する都度作成するのが原則ですが、継続的にデータを受領する場合、データを受領するごとに確認、記録義務が生じるのではなく、一括して記録を作成することが認められています(個人情報保護法施行規則16条2項)。
(データを継続的に提供・受領する契約においては、締結時に確認し、それを記録することで足ります。)
★この第6項及び別紙「提供データの提供・受領に関する確認事項」は、データ提供者(甲)とデータ受領者(乙)の双方が、「個人情報取扱事業者」の義務を履行していることを意識して定めた内容としています。
第4条(分析方法、分析結果の納入・検査)
第1項:乙が提供データを分析する方法について規定しています。
→本書末尾の「要綱」に定める方法により分析するものとしました。
→乙が選定した生成AIを用いて分析できるものとしています。
第2項:乙が甲に対して提供データの分析結果を納入する旨の規定です。
→ここでは、「本契約の有効期間中、○○○○年○○月を開始月として毎月○○日までに、提供データの分析結果を納入する」旨を規定しています。
→提供データの分析結果報告を単発とする場合の第2項の規定例も記載しています。
第3項〜第5項:乙が納入した分析結果の検査に関する規定です。
第5条(契約不適合責任)
契約不適合責任に関する規定です。
→甲が所定の期間内に契約不適合を発見した場合、乙に請求できる内容について規定しています。
第6条(表明保証)
甲が乙に提供するデータに関し、甲による表明保証について規定しています。
第1項:提供データが第三者の知的財産権、その他一切の権利を侵害するものでないことを表明保証しています。
第2項:提供データが、適法、適切な方法によって取得されたものであることを表明保証しています。
第3項:提供データが、ウィルスなどの混入がなく、安全であることを表明保証しています。
第4項:提供データが「匿名加工情報」となるよう、適切に加工されたものであることを表明保証しています。
第5項:甲が、個人情報保護法に定められた個人情報取扱事業者及び匿名加工情報取扱事業者の義務を遵守していることを表明保証しています。
ご参考:匿名加工情報制度について(個人情報保護委員会)
https://www.ppc.go.jp/personalinfo/tokumeikakouInfo/
【別例1】
----------------------------------------------------------------------------
○ 甲は、提供データが第三者の知的財産権その他の権利を侵害しないものであることを保証しない。
----------------------------------------------------------------------------
→提供データが第三者の知的財産権その他の権利を侵害しないものであることを保証しない旨の規定例です。
【別例2】
----------------------------------------------------------------------------
○ 甲は乙に対し、本契約に基づいて行う個人情報を含む提供データの提供について、権利主体である本人の同意を得ていることを表明し、保証する。
----------------------------------------------------------------------------
→提供データが個人情報を含むデータである場合、権利主体である本人の同意を得ていることの保証に関する規定例です。
【別例3】
----------------------------------------------------------------------------
○甲は乙に対し、提供データが正確であることを保証しない。
----------------------------------------------------------------------------
→提供データが正確であることを保証しない旨の規定例です。
第7条(秘密保持義務)
秘密保持義務に関する規定です。
第8条(損失軽減義務、遵守事項等)
乙の損失軽減義務(第1〜3項)、乙の禁止事項(第4、5項)、甲及び乙の遵守事項(第6項)に関する規定です。
第1項:乙における「善管注意義務、個人情報保護法等の遵守、営業秘密の維持」について規定しています。
第2項:乙によるデータ漏洩のおそれが発生した場合の措置に関する規定です。
第3項:乙のよるデータ漏洩が発生した場合の義務に関する規定です。
第4項:乙は、甲の事前承諾なくして、本件目的以外の目的で提供データの加工、編集、第三者提供その他の利用を行ってはならないことを規定しています。
第5項:データが「匿名加工情報」であることを想定し、乙が提供データを取り扱うにあたって個人を識別する行為を禁止しています。
第6項:前各項に定める他、甲及び乙は、本契約の規定、個人情報保護法その他関連法令、所管官庁のガイドラインを遵守するものとしています。
第9条(営業秘密、知的財産権)
第1項:データが「営業秘密」として管理されていることを規定しています。
第2項・第3項:データに知的財産権が認められる場合の規定例です。
(データに知的財産権が認められない場合は削除して下さい。第5条タイトルの「、データの知的財産権」も削除して下さい。
→この第2項・第3項は、「提供データ」、及びそれを元にして乙が本件業務の遂行を通じて得た分析結果及び乙が作成した派生データや加工データなどの成果物の知的財産権が甲に帰属するものとした場合の規定例です。
→「提供データ」に知的財産権が認められなくても、それを元に乙が本件業務の遂行を通じて得た分析結果及び乙が作成した派生データや加工データなどの成果物に知的財産権が認められる場合があります。
(例えば、乙が「提供データ」を元に、著作権法で定められた「データベースの著作物」に該当するデータベースを作成した場合。)
この場合、第2項のみ削除し、第3項は残して下さい(新第2項として下さい)。
※なお、データの分析結果を乙が利用する場合はそれほどないと想定されることから、通常は、分析結果についての知的財産権も甲に帰属するとしてよいでしょう。
→第2項・第3項の別例も記載しています。
(「提供データ」の知的財産権は甲に帰属するものとし、「提供データ」を元に乙が本件業務の遂行を通じて得た分析結果及び乙が作成した派生データや加工データなどの成果物の知的財産権は乙に帰属するものとした場合)
第10条(対応責任)
甲と乙の対応責任について規定しています。
第1項:甲の、「提供データに起因して生じたクレームや請求に関する対応責任」について規定しています。
第2項:乙の、「乙による本契約に違反する態様での提供データの利用に起因もしくは関連して生じたクレームや請求に関する対応責任」について規定しています。
第11条(使用状況)
甲による、乙のデータ使用状況の監査に関する規定です。
第1項:甲は乙に対し、提供データの使用状況の報告を求めることができる旨を規定しています。
第2項:甲は、前項に定められた乙によるデータ使用状況の報告が十分ではないと判断した場合、乙による提供データの使用状況の監査を実施することができる旨を規定しています。
第3項:甲は、前項に定められた監査の結果、乙が本契約に違反して提供データを使用又は利用していたことが発覚した場合、乙は甲に対し監査に要した費用及びデータ使用に係る追加の対価その他甲に生じた損害を支払うものとしています。
第12条(管理状況)
甲による、乙のデータ管理状況の確認と是正勧告に関する規定です。
第1項:甲は乙に対し、データ管理状況の報告を求めることができ、漏えい等のおそれがあると判断した場合は管理方法の是正を求めることができる旨を規定しています。
第2項:乙は、前項の報告又は是正の要求に速やかに応じなければならないとしています。
第13条(対価及び支払方法)
対価及び支払方法に関する規定です。ここでは、対価を月額固定料金としています。
第1項:提供データの提供に係る対価を毎月の固定額としています。
第2項:乙は甲に対し、本契約の有効期間中、対価に消費税及び地方消費税相当額を加算した金額を、第4条に定める分析結果の報告を乙から受けたことを条件として、当該報告を受けた月の翌月の所定日までに、乙指定の銀行口座へ振り込むことにより、対価を支払うものとしています。
【別例その1】
対価を従量料金とした第13条の別例も記載しています。
→従量課金の場合、対価の額は「単価」×「数量」に応じて決定されます。
「数量」に用いる数値としては、例えば「アカウント数」「ソフトウェアのライセンス数」「APIのコール数」等が考えられます。
【別例その2】
提供データの分析結果報告を単発とする場合の第13条の別例も記載しています。
第14条(権利義務の譲渡の禁止)
契約上の権利義務の譲渡の禁止を定める規定です。
第15条(契約の有効期間)
契約の有効期間に関する規定です。
第1項:但し書き以降は、期間を1年毎の自動更新とした場合の規定例です。
第16条(契約解除)
一般的な当事者の意思として、一度成立した契約は履行されることが好ましく、また、些細な違反について即時に契約解除を主張されたのでは支障を生じる場合もあるので、解除事由のうち契約違反については一定の催告期間を設ける場合が多いです。
いっぽう、信用不安に基づく解除権については、解除権の行使も視野に入れてすみやかに債権回収を図る必要があることから、債権者としては催告手続きを要しないことを明記しておく必要があります。
第17条(提供データの廃棄又は消去、契約終了後の措置)
提供データの廃棄に関する規定です。
第1項:本契約例の終了又は解除の際の提供データの使用又は利用の停止、ならびに廃棄又は消去に関する規定です。
→分析結果や分析結果から分離できない提供データについては、廃棄又は消去をする対象から外しています。
第2項:甲が乙に対し、提供データの廃棄又は消去を請求した場合の規定です。
→分析結果や分析結果から分離できない提供データについても、同様に廃棄又は消去をする対象としています。
第3項:前項の請求により乙に損害が発生した場合、甲は、その損害を賠償するものとした規定です。
第4項:甲は乙に対し、提供データがすべて廃棄又は消去されたことを証する書面又は電磁的記録の提出を求めることができる旨の規定です。
第18条(損害賠償、免責)
第1項:甲及び乙の、相手方に対する損害賠償に関する規定です。
第1項の赤字箇所は、損害賠償の範囲を限定するものです。(必要に応じて、全部又は一部を残すか削除して下さい。)
「履行利益」とは、契約通り履行がされていれば得られたはずの利益のことをいいます。
「履行利益」には、「逸失利益」と「履行されていれば発生しなかった出費」の双方が含まれます。
「逸失利益」
例えば、甲から提供されたデータを乙が分析できなくなった場合、これは乙の債務不履行になります。この場合にもし乙がデータが分析して、甲がその結果を取得できていれば甲が得られたはずの利益のことを逸失利益といいます。
「履行されていれば発生しなかった出費」
乙が契約通り履行しなかったことにより、甲が出費を余儀なくされた場合は、「履行されていれば発生しなかった出費」が発生しています。
履行利益を含むその損害の全てを賠償する旨を明示する規定例も記載しています。
【損害賠償の範囲:民法関連条文】
下記条文(民法第416条)が規定する損害賠償の範囲では過大な場合は、契約にて損害賠償の責任範囲を限定します。
-------------------------------------------------
民法第416条(損害賠償の範囲)
1.債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。
2.特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見し、又は予見することができたときは、債権者は、その賠償を請求することができる。
-------------------------------------------------
第2項:分析結果について、乙が責任を負わない旨の規定です。
→業務委託の結果については責任を負わないとするのが一般的です。
但し、分析業務につき乙の善管注意義務違反があった場合は、乙は責任を負うものと解されます。
第3項:不可抗力免責に関する規定です。
第19条(完全合意)
第20条(契約の変更)
第21条(再委託)
再委託に関する規定です。
→ここでは、乙は本件業務を第三者に再委託することはできないものとしています。
→再委託を可能とする場合の第21条の別例も記載しています。
第22条(反社会的勢力の排除)
反社会的勢力の排除に関する規定です。
警察庁と金融庁が中心となり策定された平成19年(2007年)6月19日付「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」の中で「反社会的勢力が取引先や株主となって、不当要求を行う場合の被害を防止するため、契約書や取引約款に暴力団排除条項を導入する」ことが推奨され、契約の相手方が「反社会的勢力」(「暴力団」より広い概念)であることが判明した場合には当該契約を直ちに解除することができるとする条項を加えることが一般的になってきています。
第23条(準拠法)
第24条(協議、紛争解決)
第2項「〇〇地方裁判所又は〇〇簡易裁判所」の別例として、以下が挙げられます。
「甲の本店所在地を管轄する地方裁判所又は簡易裁判所」
「原告の所在地を管轄する地方裁判所又は簡易裁判所」
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【要綱】
提供データの要綱例を2つ付けています。
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★注釈・コメント付。WORDファイル形式で、ご自由にカスタマイズできます。
★当事務所側でのカスタマイズも承っています(別途お見積り)。
契約書作成eコース by M.B.A. 行政書士 岡田旭事務所
https://keiyaku.info
