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2024/08/01 08:53
【映画製作委員会における、映画の著作権の取扱い(帰属)について:共有とする場合、権利一元化を図る場合】
製作委員会方式においては、とくに完成した映画の著作権は、組合員の共有となるのが通常です。
→共有著作権を行使するには、その共有者全員の合意が必要となります(著作権法第65条2項)。いっぽう著作権法は、共有著作権を代表して行使する者を定めることができる旨を規定し(著作権法第64条3項、65条4項)、著作権の円滑な利用を図っています。
→映画製作委員会では、映画の利用に関する各業務の窓口権という形で、代表して行使する者を定めることになります。
著作権の共有持分は、契約上特に定めない場合は、各共有者が等しい持分であると推定されます(民法250条)。
→著作権の共有割合が契約上特に定められていない場合、映画製作委員会の組合員全員の持分割合が均等になるおそれがありますので、契約にて共有割合を定めます。
→なお、共有著作権の持分割合にかかわらず共有著作権の行使を拒絶することは可能です。
一方、民法上の組合契約で、成果物の著作権をあらかじめ1名の組合員に帰属させることも可能です。(すなわち、製作委員会方式においても、権利一元化を図ることは可能です。)
→組合契約は、各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約する契約です。組合員間で合意すれば、成果物の著作権の帰属について自由に取り決めることができます。但し、以下の点に注意が必要です。
・組合契約書に、著作権の帰属先を1人の組合員とする旨を明確に規定すること。
・全ての組合員がこの取り決めに同意すること。
・組合外の第三者に対しては、組合として権利行使する可能性があるため、内部関係と外部関係を区別して規定すること。
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