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2026/05/17 17:26
契約info>「産業廃棄物処理業の取引設計、契約書の整備、契約法務」のページを追加しました。
※以下は上記ページからのピックアップです。
(より詳細な記載内容、並びに契約書のひながた・テンプレートは、上記リンク先をご参照下さい。)
産業廃棄物処理委託契約書|標準様式
公益社団法人全国産業資源循環連合会が作成している「産業廃棄物処理委託契約書」の標準様式は、廃棄物処理法で要求されている法定記載事項を網羅しているだけでなく、法令遵守、当事者間の責任範囲、トラブル時の対応、料金の支払いに関する事項なども盛り込まれています。
ご参考:公益社団法人全国産業資源循環連合会|処理企業の方へ|産業廃棄物処理委託契約
1. 標準様式の一覧と使い分け
用途に応じて、以下の4種類の標準様式から適切なものを選択します。
標準様式1(産業廃棄物収集・運搬委託契約書)
収集・運搬業務のみを委託する場合に使用します。
標準様式2(産業廃棄物処分委託契約書)
処分業務のみを委託する場合に使用します。
標準様式3(産業廃棄物収集・運搬及び処分委託契約書)
収集・運搬業務と処分業務を、「同一の」産業廃棄物処理業者にまとめて委託する場合にのみ使用します。
標準様式4(産業廃棄物処理委託契約書)
空欄に必要事項を記入していく記入式の様式で、契約約款が含まれています。収集・運搬業務、処分業務、収集・運搬及び処分業務の3つの区分から1つを選択して使用します 。
2. 標準様式を利用する際の注意点
標準様式を利用して契約書を作成・締結する際には、以下の点に注意する必要があります。
法定記載事項の削除不可
契約当事者間の交渉により、内容の変更、削除、追加などは必要に応じて自由に行えますが、廃棄物処理法で定められた「法定記載事項」を削除することはできません。
実地確認の追加検討
法律で義務付けられているわけではありませんが、排出事業者による適正処理の確認義務として、「実地確認(現地確認)」の条項を契約書に追加することが推奨されています(条例で義務付けている自治体もあります)。
選択式条文の取り扱い
条文に①、②、③と番号が付されている場合は、実際の契約状況に合ったものを1つだけ選択し、それ以外の条文は削除して記載します。
3. 処理委託契約の5原則
様式に関わらず、産業廃棄物の処理委託契約を結ぶ際には、法律に基づく以下の「5原則」を守る必要があります。
二者契約であること
排出事業者は、収集運搬業者、処分業者それぞれと直接契約を結ぶ必要があります。
書面で契約すること
必ず書面で契約を交わし、変更が生じた場合も書面で行います(口頭は不可です)。
必要な項目を盛り込むこと
廃棄物処理法の施行令・施行規則で定められた項目を必ず記載します。
許可証等の写しを添付すること
契約内容に該当する許可証や再生利用認定証などのコピーを契約書に添付します。
5年間保存すること
排出事業者は、契約終了の日から5年間、契約書を保存する義務があります 。
4. 電子契約への対応
近年はペーパーレス化が進んでおり、全産連の標準様式に準拠した電子契約サービスも利用可能です。
「EcoDraft(エコドラフト)」、「freeeサイン(全産連プラン)」、「DXE Station」などのシステムで、標準様式に準拠した電子契約書の作成・締結が可能です。
建設廃棄物処理委託書|様式
一般社団法人東京建設業協会をはじめとする建設関係団体が作成している「建設廃棄物処理委託契約書」の様式は、建設現場などで発生する廃棄物を適正に処理・管理するため、廃棄物処理法などの関連法令に基づいて作成された実務的なフォーマットです。
ご参考:一般社団法人東京建設業協会|建設廃棄物処理委託契約書
1. 契約方式と基本構造
個別契約方式
この契約書の様式は、工事現場ごとに個別に契約を結ぶ「個別契約方式」を採用しています。
当事者の定義
排出事業者(元請業者)を「甲」、収集運搬会社を「乙」、処分会社を「丙」として記載します。
二者契約の原則
廃棄物処理法の原則に従い、「甲と乙(収集運搬)」「甲と丙(処分)」のそれぞれと二者契約を結ぶ構造です。収集運搬と処分を同じ業者が行う場合のみ、「甲と乙(=丙)」として1つの契約書でまとめることができますが、甲・乙・丙がすべて別々の会社の場合、1枚の契約書に3者が押印して契約を結ぶことはできません。
2. 記載内容の特徴
空欄に必要事項を記入していく記入式の様式で、契約約款が含まれています。収集・運搬業務、処分業務、収集・運搬及び処分業務の3つの区分から1つを選択して使用します。
詳細な委託業務内容
廃棄物の種類、予定数量、契約単価、処分の方法や処理能力、積替・保管場所を経由するかどうかの有無などを詳細に記載する欄があります。
特定有害廃棄物への対応
法改正等に対応し、「石綿含有産業廃棄物」や廃蛍光管などの「水銀使用製品産業廃棄物」を明確に区分して記入できる専用欄が設けられています。
最終処分先の明確化
中間処理施設に処理を委託する場合でも、その後の「最終処分(再生を含む)場所」や「再生品目の売却先」まで追跡して記載する欄(Ⅰ〜Ⅳ欄)があり、排出事業者の責任を全うできる作りになっています。
3. 関連する付属様式
状況の変化に応じて適法に対応できるよう、契約書本編以外にも以下の様式が用意されています。
変更契約書・変更通知書
契約期間中に、中間処理後の最終処分場所が追加・変更された場合などに使用する「建設廃棄物処理委託変更契約書」や、FAXで迅速にやり取りするための「変更のお知らせ(FAX用)」があります。
再委託承諾願・承諾書
原則禁止されている処理の再委託を、法令の例外規定に基づいて適法に行うための「建設廃棄物処理再委託承諾願・承諾書」の参考様式が含まれています。
4. 運用の注意点(Q&Aより)
排出事業者は「元請」
建設工事において排出事業者となるのは、発注者から直接工事を請け負った「元請業者」です。下請業者が自ら排出事業者として委託契約を結ぶことは原則としてできません。
支店長や工事現場の所長等による押印
排出事業者の契約締結者は代表者となっていますが、代表者から契約締結についての権限を委任されていれば、支店長や工事現場の所長等で結構です。
収入印紙の貼付
収集運搬契約は「第1号文書」、処分契約は「第2号文書」に該当し、契約金額に応じた収入印紙の貼付と消印が必要です 。ただし、最終処分場所の変更などの「変更契約書」には印紙は不要です。
電子マニフェスト(JWNET)の概要と導入
廃棄物処理法に基づく「電子マニフェスト(JWNET)」の概要と導入について解説ます。
ご参考:公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)|廃棄物処理法に基づく電子マニフェスト
1. マニフェスト制度の目的と基本
マニフェスト(産業廃棄物管理票)制度とは、排出事業者が自らの責任で委託した産業廃棄物が、最終処分まで適正に処理されたかを行程ごとに確認し、不法投棄などの不適正処理を未然に防止するための制度です。
対象
産業廃棄物の処理を他人に委託する場合に適用されます。自己処理や、一般廃棄物の委託などは原則対象外です。
確認義務
排出事業者は、運搬終了・処分終了は90日以内(特管は60日以内)、最終処分終了は180日以内に確認する義務があります。期限内に確認できない場合は、行政への報告と適切な措置が必要です。
選択制
マニフェストには「紙マニフェスト」と「電子マニフェスト」があり、排出事業者が選択できます。ただし、特管多量排出事業者(特別管理産業廃棄物多量排出事業者)には電子マニフェストの使用が義務化されています。
2. 電子マニフェスト(JWNET)とは
電子マニフェストは、マニフェスト情報を電子化し、排出事業者・収集運搬業者・処分業者の3者が、情報処理センター(JWNET)を介したネットワークでやり取りする仕組みです。
運営
公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)が、環境大臣から全国で1つの指定を受け運営しています。
利用条件
排出事業者、収集運搬業者、処分業者の3者すべてがJWNETに加入している必要があります。
3. 電子マニフェスト導入の3大メリット
電子マニフェストを導入することで、以下のような大きなメリットがあります。
事務処理の効率化(簡単!)
・パソコンで入力でき、手間がかかりません。 ・必須項目がシステム管理されるため、入力漏れを防げます。 ・マニフェストの保存(5年間)が不要で、スペースも削減できます。 ・行政への「産業廃棄物管理票交付等状況報告」をJWセンターが代行するため、排出事業者自らの報告が不要になります。
法令の遵守(しっかり!)
・処理の終了報告が電子メール等で通知されるため、確認漏れを防げます。
・確認期限が近づくとシステムが注意喚起してくれます。
・紙のような紛失の心配がありません。
データの透明性(確実!)
・データは情報処理センターで安全に管理・保存されます 。
・3者が常に情報を閲覧・監視できるため、不適切な登録・報告を防止でき、偽造も防げます 。
4. 運用の流れ(基本ステップ)
電子マニフェストの基本的な運用の流れは以下の通りです 。
引渡し・登録
排出事業者は廃棄物を収集運搬業者に引き渡した後、3日以内(土日祝日などを除く)にJWNETにマニフェスト情報を登録します。
運搬終了報告
収集運搬業者は、処分場に搬入後、3日以内にJWNETで運搬終了報告を行います 。この情報は排出事業者に即座に通知されます。
処分終了報告
処分業者は、処理終了後、3日以内にJWNETで処分終了報告を行います 。これも排出事業者に即座に通知されます。
(重要)受渡確認票の活用
現場で廃棄物を引き渡す際、電子マニフェストのシステムだけでは現場の人間が確認できないため、「受渡確認票(伝票)」を活用するのが一般的です 。JWNETから出力できる様式を利用するか、独自の様式を使用します。
5. 導入にあたっての確認点
加入単位
本社一括、または支店・工場ごとの加入が選べます 。料金は加入者番号ごとに発生します。
サブ番号の活用
1つの加入者番号の中に、担当者や現場ごとに「サブ番号」を設定して管理を分けることができます(追加料金なし)。建設現場などではよく活用されています。
利用環境
特別なソフトは不要で、Webブラウザ(Edge、Chromeなど)で利用できます 。自社システムと連携したい場合はEDI方式も可能です。
産業廃棄物処理業が必要とする異業種との業務提携
以前の産業廃棄物処理業は「出たゴミをいかに安全に・安く・早く処理するか」が主眼でしたが、現在は「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」「脱炭素(カーボンニュートラル)」「深刻な人手不足」といった社会課題を背景に、異業種とタッグを組んで「新たな価値(資源・エネルギー・データ)」を生み出すビジネスへと急速に変化しています。
産業廃棄物処理業が必要とする異業種との提携パターンについて、代表的なものを以下に整理します。
1. 製造業・小売業との提携(動静脈連携・リサイクル創出)
モノを作る「動脈産業(メーカーなど)」と、不要物を回収・処理する「静脈産業(産廃業)」が連携し、廃棄物を再び製品の原料として戻す「動静脈連携」が不可欠になっています。
再生原料の供給ループ構築
産廃業者が回収・分別した廃プラスチックや金属を、高品質な再生原料(ペレットなど)に加工し、特定のメーカーに直接納入する提携です。(例:廃ペットボトルを回収し、アパレルメーカーの衣服原料として提供)
アップサイクルの共同開発
単なるリサイクルにとどまらず、廃棄物を活用した新たな付価価値の高い製品(建材、家具、雑貨など)を異業種と共同で開発・販売します。
2. IT・テクノロジー企業との提携(DX・業務効率化)
人手不足や高齢化、コンプライアンス管理の厳格化に対応するため、最新テクノロジーの導入による効率化(DX)が急務です。
AIによる自動選別
ロボティクスや画像認識AIを持つテック企業と提携し、手作業に頼っていた廃棄物の選別ラインを自動化します。
配車・収集ルートの最適化
ゴミ箱にIoTセンサーを設置して溜まり具合を可視化したり、AIを使って最も効率的な回収ルートを自動生成するシステムをITベンチャーと共同構築します。
ブロックチェーンによるトレーサビリティ
廃棄物がどこから出て、どうリサイクルされたかを確実に証明するシステムを構築し、排出事業者(顧客)への透明性をアピールします。
3. エネルギー・インフラ企業との提携(脱炭素・創エネルギー)
廃棄物を単に燃やすのではなく、「エネルギー」として地域や企業に還元する取り組みです。
廃棄物発電と電力供給
廃プラスチックや木くず、食品廃棄物を利用したバイオマス発電や焼却熱利用施設を運営し、地域の電力会社や新電力(PPS)と提携して電力を売電します。
工場への熱・蒸気供給
産廃処理工場の隣接地に異業種の工場を誘致(または自らが隣接地に建設)し、焼却炉から出る「蒸気」や「熱」を直接供給するエネルギー提携も増えています。
4. 物流・運輸業との提携(静脈物流の効率化)
物流業界の「2024年問題」によるドライバー不足は、産廃の収集運搬にも直結します。
共同輸配送(リバースロジスティクス)
運送会社が商品を納品した後の「帰り便(空荷のトラック)」を活用して廃棄物を回収するスキームを構築し、輸送コストとCO2排出量を削減します。
モーダルシフト
長距離トラック輸送から、鉄道貨物や船舶輸送への切り替えを行うため、JR貨物や海運業者と強固な提携を結びます。
5. 農業・食品関連業との提携(地域資源ループ)
食品リサイクルループ
食品工場やスーパーから出る食品残渣を堆肥(コンポスト)や飼料にし、それらを地域の農家や畜産農家に提供。そこで育った野菜や肉を再び提携先のスーパーで販売する、という地域密着型の循環ループを作ります。
異業種提携における注意点
異業種と組む際、最もハードルとなるのが「廃棄物か、有価物か(ゴミか、資源か)」の法的な線引きです。 どれほど優れたリサイクルや提携のアイデアであっても、対象物が「廃棄物」とみなされる場合、提携先のIT企業や運送会社、農家などが無許可で運搬や処理に関わることは法律(廃棄物処理法)で厳しく禁じられています。コンプライアンスを遵守した上で、誰がどの業務を担うのか、スキームを慎重に設計する必要があります。
このように、現代の産廃業は「ゴミの処理業者」から「資源循環・脱炭素のプロデューサー」へと役割を変えつつあります。