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2025/06/26 19:30
当事務所は、歯科業界が必要とする、業務委託契約書などの契約書を作成いたします。また、契約書作成を通じ、取引の設計・業務提携等に関するコンサルティング・アドバイスを行います。
本ページのコンテンツ
■歯科業界の全体像
■歯科医行為と歯科医・歯科衛生士
■特定商取引法と、審美歯科の美容医療サービス
■歯科医院の店舗開発・多店舗展開に関する契約書
■のれん分け等で、固定資産の譲渡・事業譲渡が絡む場合
■契約書ひながたダウンロード販売
■契約書や利用規約のオーダーメイド
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フリーランス看護師の取引設計、契約書作成
薬剤師・薬局業界の契約書
メディカルサービス法人/MS法人の契約書
【歯科業界の全体像】
日本の歯科業界は、歯科医院(開業医・歯科病院)を中心とし、周辺に歯科技工所、歯科機器メーカー、歯科材料メーカー、歯科用医薬品メーカーなどが連なる構造です。歯科医院は「一般歯科」「矯正歯科」「小児歯科」「審美歯科」「歯科口腔外科」などの診療科目に分かれています。
歯科業界の主なプレイヤー
歯科医師(院長・勤務医)
歯科衛生士
歯科助手
歯科技工士
歯科技工所
歯科機器・材料メーカー
歯科業界のビジネスモデルと特徴
歯科医院の多くは個人経営が基本ですが、近年は医療法人化や分院展開による大規模化も進んでいます。
医院経営は保険診療が中心ですが、自由診療(インプラント、審美歯科など)の比重を高める動きも活発です。
理美容業界に近い収益構造やスタッフの報酬体系(歩合制)も見られるなど、他の医療分野とは異なる特徴があります。
産業構造の課題
歯科医院数は依然として多く、都市部を中心に新規開業と廃業が活発で、競争が激化しています。
人口減少や患者数の伸び悩み、歯科衛生士・助手の人材不足が深刻化しています。
個人医院の売上は減少傾向にあり、規模の大きな医療法人との格差が拡大しています。
M&A(合併・買収)による業界再編も進行しており、経営資源の効率化や人材確保を目的とした動きが見られます。
市場規模と今後の動向
日本の歯科医療市場は約5兆円規模とされ、伝統的な商習慣が根強く残る一方、DX(デジタルトランスフォーメーション)による業務効率化や新たなビジネスモデルの導入が進んでいます。
法人化や予防歯科へのシフト、DX推進による業務効率化が今後の成長戦略のカギとなっています。
歯科医行為と歯科医・歯科衛生士
【歯科医行為と歯科医・歯科衛生士】
★歯科衛生士の3つの業務
→歯科衛生士法は、第2条各項において、歯科衛生士が行うことのできる、次の3つの業務を規定しています。
・歯科衛生士法第2条第1項が規定する「歯科予防処置」
・歯科衛生士法第2条第2項が規定する「歯科診療の補助」
・歯科衛生士法第2条第3項が規定する「歯科保健指導」
★「歯科診療の補助」と「相対的歯科医行為」
→歯科衛生士法第13条の2は、「歯科衛生士は、歯科診療の補助をなすに当つては、主治の歯科医師の指示があつた場合を除くほか、診療機械を使用し、医薬品を授与し、又は医薬品について指示をなし、その他歯科医師が行うのでなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為をしてはならない。ただし、臨時応急の手当をすることは、さしつかえない。」と規定しています。
→歯科医行為のうち、歯科医師の指導の下に、歯科衛生士が行っても良い行為を「相対的歯科医行為」といいます。(例;歯石の除去、ホワイトニング、表面麻酔薬の添付など。)
注意;訪問歯科に関する業務(訪問歯科診療/訪問歯科衛生指導/訪問口腔衛生指導)においても、歯科衛生士は歯科医師の指導の下に当該業務を遂行する必要があります。
→一方、歯科医行為のうち、歯科医師しか行ってはいけない行為を「絶対的歯科医行為」といいます。 (例;歯や歯の神経を抜く、歯茎を切る、歯を削って治療するなどの医療行為、歯に詰めものをする、歯に被せものを着ける、歯石をとる以外を目的として行う注射、麻酔、レントゲン撮影など。)
特定商取引法と、審美歯科の美容医療サービス
【特定商取引法と、審美歯科の美容医療サービス】
審美歯科が提供する、歯の美しさに焦点を当てた治療は「美容医療」に該当します。 以下の(1)、(2)に定める美容医療サービスは、特定商取引に関する法律(いわゆる特定商取引法)により特定継続的役務提供とされ、行政で規制されています。
(1) 人の皮膚を清潔にし若しくは美化し、体型を整え、体重を減じ、又は歯牙を漂白するための医学的処置、手術及びその他の治療を行うこと(美容を目的とするものであって、主務省令で定める方法によるものに限る)
※主務省令で定める方法
(a)脱毛:光の照射又は針を通じて電気を流すことによる方法(例:レーザー脱毛、針脱毛など)
(b)にきび、しみ、そばかす、ほくろ、入れ墨その他の皮膚に付着しているものの除去又は皮膚の活性化:光若しくは音波の照射、薬剤の使用又は機器を用いた刺激による方法(例:レーザーや超音波を照射する機器による治療、ケミカルピーリングなど)
(c)皮膚のしわ又はたるみの症状の軽減:薬剤の使用又は糸の挿入による方法(例:ヒアルロン酸注射、糸によるリフトアップなど)
(d)脂肪の減少:光若しくは音波の照射、薬剤の使用又は機器を用いた刺激による方法(例:レーザーや超音波を照射する機器による治療、脂肪溶解注射、脂肪を冷却する機器による治療など)
(e)歯牙の漂白:歯牙の漂白剤の塗布による方法(例:ホワイトニングジェルを注入したマウストレーを装着する治療など)
(2) 契約金額が5万円を超え、かつ役務提供期間が1か月を超えるもの
【書面の交付に関する規制(特定商取引法第42条)】
※契約の締結前
契約の概要を記載した書面(概要書面)を渡さなくてはなりません。
※契約の締結後
遅滞なく、契約内容を明示した書面(契約書面)を渡さなければなりません。
そのほか消費者に対する注意事項として、書面をよく読むべきことを赤枠の中に赤字で記載しなければなりません。また、契約書面におけるクーリング・オフの事項についても赤枠の中に赤字で記載しなければなりません。さらに、書面の字の大きさは8ポイント(官報の字の大きさ)以上であることが必要です。
【ご参考(消費者庁:特定商取引法ガイドより)】
特定商取引法の規制対象となる「特定継続的役務提供」
→「概要書面」と「契約書」に記載すべき事項について説明しています。
特定継続的役務提供Q&A
【ご参考(国民生活センターより)】
美容医療サービスはクーリング・オフできる?
【契約の解除:クーリング・オフ制度(特定商取引法第48条)】
特定継続的役務提供の際、消費者が契約をした場合でも、法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日間以内であれば、消費者は事業者に対して、書面により契約(関連商品の販売契約を含む)の解除(クーリング・オフ)をすることができます。
関連商品とは、特定継続的役務の提供の際、消費者が購入する必要がある商品として政令で定められている商品のことです。 消費者が本体の特定継続的役務提供など契約をクーリング・オフ(または中途解約)した場合には、その関連商品についてもクーリング・オフ(または中途解約)することができます。
美容医療については、以下のものが関連商品として指定されています。
・いわゆる健康食品等(医薬品を除く)
・化粧品
・マウスピース(歯牙の漂白のために用いられるものに限る。歯牙の漂白剤)
・医薬品及び医薬部外品であって美容を目的とするもの
クーリング・オフを行った場合、消費者がすでに商品もしくは権利を受け取っている場合には、販売業者の負担によって、その商品を引き取ってもらうことおよび権利を返還することができます。また、役務がすでに提供されている場合でも、消費者はその対価を支払う必要はありません。また、消費者は、損害賠償や違約金を支払う必要はなく、すでにに頭金など対価を支払っている場合には、すみやかにその金額を返してもらうことができます。 ただし、使うと商品価値がほとんどなくなる、いわゆる消耗品(いわゆる健康食品等、医薬品など)を使ってしまった場合には、クーリング・オフの規定が適用されません。
【中途解約(特定商取引法第49条)】
消費者は、クーリング・オフ期間の経過後においても、将来に向かって特定継続的役務提供など契約(関連商品の販売契約を含む)を解除(中途解約)することができます。
その際、事業者が消費者に対して請求し得る損害賠償などの額の上限は、以下の通りです(それ以上の額をすでに受け取っている場合には、残額を返還しなければなりません) 。
※契約の解除が役務提供開始前である場合
契約の締結および履行のために通常要する費用の額として役務ごとに政令で定める額。(美容医療の場合、2万円。)
※契約の解除が役務提供開始後である場合(aとbの合計額)
a 提供された特定継続的役務の対価に相当する額
b 当該特定継続的役務提供契約の解除によって通常生ずる損害の額として役務ごとに政令で定める額。(美容医療の場合、5万円または契約残額の20%に相当する額のいずれか低い額。)
契約残額とは、契約に関する役務の対価の総額から、すでに提供された役務の対価に相当する額を差し引いた額のことです。