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アーティスト・ギャラリー マネジメント契約書
(アーティスト・ギャラリー_マネジメント契約書.docx)
【アーティスト・ギャラリー マネジメント契約書】
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M.B.A. 行政書士 岡田旭事務所 がBASEで運営する、
契約書ひながた(書式/テンプレート)のダウンロード販売サイト。
インボイス制度対応(領収書の発行可)。
注釈・コメント付。WORDファイル形式で、すぐにご利用できます。
お客様側でご自由にカスタマイズできます。
当事務所でのカスタマイズも別途お見積りで承ります。
契約書作成eコース 管理人 https://keiyaku.info/
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★この契約書ひながたは、アートギャラリー(甲)がアーティスト=芸術家(乙)のマネジメントに関する業務を行うケースを想定しています。
★アートギャラリー(甲)がアーティスト=芸術家(乙)を独占的な所属(専属)とする場合と、非独占的な所属(非専属)とする場合の双方に対応しています。(第1条第3項。)
★メディアが発達した現代を生きるコマーシャルギャラリー(企画画廊)、アーティストエージェンシーは必携の契約書です。
【ご参考:当事務所HP】
アートビジネス:芸術家とギャラリーの契約書
http://keiyaku.info/art01.html
アートビジネス:アートレンタル契約書 美術品賃貸借契約書
http://keiyaku.info/art02.html
アートビジネス:美術品売買契約書
http://keiyaku.info/art03.html
アートビジネス:レンタルギャラリーの契約書
http://keiyaku.info/art04.html
各種イベントのスポンサー契約書、協賛契約書
http://keiyaku.info/sponsor01.html
ビデオ・動画・音楽配信許諾契約書、ライセンス契約書
http://keiyaku.info/e_haishin01.html
デザイン・アート・クリエイティブの契約法務、マネジメント
http://keiyaku.info/design01.html
ファッションビジネス、アパレル産業の契約法務
http://keiyaku.info/fashion01.html
★未成年者の場合は、法定代理人の署名もしくは押印も必要になります。
(未成年者の法定代理人は、通常は親権者です。)
→甲が成年の場合は、4行目の『甲の法定代理人同意の上、』を削除して下さい。
→甲が未成年の場合は、4行目の『甲の法定代理人同意の上、』を残して下さい。
ご参考:東京くらしWEBより(未成年者契約)http://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/sodan/s_faq/kiso/k_miseinen.html
★「アーティスト・ギャラリー マネジメント契約書」に含まれる条項
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第1条(目的)
第1項は、ギャラリーがアーティストのアート作品の保管、展示及び販売に関する業務を行うことを定めています。(典型的なギャラリーの業務に関する規定です。)
★ギャラリーが扱う作品の種類等を、別添の付帯規則にて定めるものとしています。
→本契約の対象となる商品を一覧表にして、この契約書に添付する形式とします。具体的には、この一覧表を本契約書にホッチキス等で綴じて、綴じ目をまたがるように、当事者(甲及び)の契印をします。
第2項は、ギャラリーの(業務を行うにあたっての権限につき定めています。
→本契約では、ギャラリーには、アート作品の保管・展示・販売に加えアーティストの様々な活動について窓口となり、契約交渉・折衝・協議・事務連絡・調整のみならずアーティストを代理して契約を締結する権限まで与えられています。
→第2項各号に定める業務は、アーティストのエージェント的な業務となります。ギャラリーではなく他のマネジメント会社が、これらの業務を受け持つこともあり得るでしょう。
(必要に応じ、内容の追加削除等の変更をして下さい。)
【独占的な所属(専属)、非独占的な所属(非専属)】
第3項は、乙(アーティスト)が第1項・第2項で定めた業務を自ら行う場合及び第三者に行わせる場合は、甲(ギャラリー)の事前承諾が必要であることを規定しています。(これにより、事実上、第1項・第2項で定めた業務は甲の独占業務となります。)
→独占的な所属(専属)とする場合、甲にとっては、他のギャラリーとの競合を避けるためにも、第3項のように定めることが重要になってきます。
→非独占的な所属(非専属)とする場合の、第3項の別例を以下に記載します。
(この場合、現状の第4項は削除することになります。)
第4項:乙が甲以外の第三者から、本件業務を行うことについて打診があった場合は、その打診への対応について甲に相談したうえで決定するものとしています。
第5項:基本契約と個別契約の関係を定めています。
第6項:個別契約は、書面の他、電子メール等の電磁的方法によっても成立する旨を規定しています。
第2条 (展示会、費用負担割合)
第1項:ギャラリーが開催する展示会のスケジュールを、別添の付帯規則で定めるようにしています。
→アーティスト側からすれば、展示会をある程度のスケジュールで開催してくれないギャラリーとは契約する意味が無いので、このような規定をいれています。
第2項:費用の負担割合について、別添の付帯規則で定めるようにしています。
第3項:展示会開催後の額縁等の帰属についても、別添の付帯規則で定めるようにしています。
第3条(甲の利益を最大化する義務)
甲は、乙(アーティスト/芸術家)の利益を最大化すべく最善を尽くすものとしています。
第4条 (顧客・第三者との契約締結等)
第1項:甲が本件作品を顧客に販売・貸出する場合には、甲は乙を代理して販売・貸出することを明記しています。
また、希望販売価格(本件定価)を甲乙合意のうえ定めるものとし、別添の付帯規則に記載するようにしています。
第2項:作品の販売・貸出以外の業務(第2条第2項に記載の業務)を行う場合にも、甲は、必要に応じ、乙を代理して第三者との間で契約を締結する旨を定めています。
→第三者と契約を締結する前に、甲は乙の承諾を得なければならないことを定めています。(赤文字箇所が不要の場合は削除して下さい。)
第3項:甲がいわゆる絵画商法、キャッチセールス等の「特定商取引に関する法律」に規制される販売・貸出方法を行う場合は様々なトラブルが発生しやすいので、注意的に規定しています。(第3項が不要の場合は削除して下さい。)
第5条 (対価)
第1項:乙のアート作品を甲が販売した場合の、甲の対価に関する規定です。
→乙は甲に対して販売価格の所定割合の対価を支払うとしています。ただし、第6条により、実際のお金の流れは、甲が顧客から受け取った作品の販売代金から、自己の対価を控除した残額を、乙に送金することになります。
★ギャラリーの対価は任意ですが、一般的にはアート作品の販売価格の25%~50%の範囲で変化しているようです。ギャラリー業務に伴う費用がかさむ場合に(プロモーション費用、海外渡航費用等がかさむ場合に)、高い対価を設定するようです。
第2項:甲がマネジメント業務をする場合の甲乙それぞれの対価について規定しています。
★ファインアートの業界に限れば、ギャラリーがこのような商業的活動を展開するのはまだ珍しいかもしれませんが、例えば有名スポーツ選手をマネジメントする会社の場合、第1条第2項各号に列挙したような商業的活動についてのマネジメント・フィーは、それらの活動により選手が受け取る対価の10~30%をマネジメント会社が受け取るとされることが多いようです。
→日本のプロ野球の場合、球団と選手の間の選手契約締結に関するエージェント・フィーは、選手契約に基づき選手が球団から受け取る対価(年俸・出場料など)の1~10%と定められるのが通例です。
→メジャーリーグの場合、選手代理人の報酬は、選手が受け取る年俸の5%までと規制されています。また、日本プロ野球選手会の選手代理人報酬ガイドラインでは、選手代理人の報酬は年間で年俸の1~2%程度が標準であるとされています。
第3項:甲が画集やノベルティー・グッズを制作又は販売する場合の対価は、別途協議して定めるものとしています。これらについては、制作会社や販売代理店等の第三者も関係することが多いと思われます。それら第三者との契約内容によって、対価の額も変わってくるものと思われます。
第6条(販売代金・報酬・対価の取扱い)
甲が販売代金・報酬を代理受領する場合、乙への対価の支払いについて取り決める必要があります。
第7条 (報告義務)
甲の乙に対する報告義務に関する規定です。
第8条 (保管責任等)
甲が乙から預かった作品の保管責任に関する規定です。
第9条 (権利保護、複製物)
第10条(作品の複製物及び乙の肖像等の利用)
ギャラリー(とくに企画ギャラリー)は、第三者からアーティストに対するオファーが来るのを待っているだけではなく、積極的に営業活動を行うこともします。また、ギャラリー自身も、有力なアーティストをより多く獲得するため自社の広告・宣伝や営業活動を行います。本条は、そのような場合のアーティストの肖像等の使用について定めています。
第3項は、本条に基づき使用するアーティストの肖像等については、アーティストの事前承諾を得なければならないことを定めています。この規定により、アーティストの意に沿わない使用は防がれることになります。
(第3項が不要な場合は削除して下さい。)
第11条(表明及び保証)
乙が、アーティストとして本契約を締結する権限を有していること(第三者の著作権を侵害等していないこと)及び第三者との間に本契約と矛盾・抵触する契約がないことを表明・保証することを定めています。
第12条(法令等の遵守)
法令または公序良俗に反する行為及び相手方の名誉・声望を段損する恐れのある行為の禁止を定めています。
第13条(権利義務の譲渡禁止)
本契約から生ずる権利義務の譲渡を禁止する規定です。
民法上、債権者は自由に債権を譲渡することができるのが原則です(民法466条1項)が、本条項のような譲渡禁止特約を付けることによって債権の譲渡性を失わせることが可能となります(民法466条2項)。
第14条(乙の損害賠償義務)
乙の損害賠償義務を注意的に規定したものです。
『本契約に関して第三者から甲に対して二重契約の存在等の異議』というのは、乙が本契約締結時に別のギャラリーと既に同様の契約を締結していた場合を想定しています。
第15条(秘密保持)
第1項:契約当事者間の秘密保持義務について規定しています。
第2項:秘密情報から除外される必要のあるー定の情報については、秘密情報に含まれないことを規定しています。
第3項:秘密保持義務は、通常、契約終了後も一定期間効力を有することが規定されますが、ここでは、第3項にて「本条の規定は本契約終了後も有効とする」としてあります。(すなわち、契約終了後もずっと秘密保持契約は続くものとしています。)(秘密保持の期間を区切りたい場合は、「本契約終了後も有効とする」を「本契約終了後3年間有効とする」等に変更して下さい。
第16条(個人情報の保護)
アーティスト(乙)の個人情報保護について、注意的に規定したものです。
第17条(本契約の有効期間)
【有効期間について】
上記例では、1年間+1年毎の自動更新としています。
『本契約の有効期間は、本契約締結の日から満1年間とする。』の部分を、『本契約の有効期間は○○○○年○○月○○日から○○○○年○○月○○日までとする。』のような規定にすることも可能です。
第18条(契約解除)
★第2項、第3項は、アーティストとギャラリー間の契約に特有の規定です。
→アーティストにとっては、甲がギャラリーを撤退した場合は本契約を続ける意味がなくなりますので、このような規定を設けています。
→ギャラリーの特定の担当者が死亡もしくは退職した場合に、本契約を自動的に終了させる場合は、第2項の『又は●●●が死亡若しくは甲を退職したとき』を残して下さい。
★本条項は、本契約の約定解除権について規定し、また損害賠償請求について注意的に規定しています。民法上、相手方が契約上の債務を履行しない場合には、解除権が発生します (法定解除権、民法541条、543条)。
第19条(暴力団等反社会的勢力の排除)
第20条(協議解決)
本契約に定めのない事項についての解釈基準、解決方法等について規定しています。
第21条(準拠法・合意管轄)
★『東京地方裁判所または東京簡易裁判所』を『乙の本店所在地を管轄する地方裁判所または簡易裁判所』のようにすることもできます。
前段は、本契約を解釈する際に適用される実体法を日本法とすることを規定しています。
後段は、本契約に関する紛争を訴訟で解決する場合の管轄の合意について規定しています。
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【別紙】
第1条(本件業務にかかる作品等)
・「本作品」を種類で限定するほか、具体的な作品名を記載して、当該作品のみを対象とする場合も考えられます。
・「本作品」を限定しない場合は、「乙が制作するアート作品の全て」などと記載します。
第2条(展示会の開催)
・展示会の開催頻度、費用の負担割合について別紙で定めるようにしています。
負担割合をどうするかによって、アーティスとギャラリーの受け取る報酬の割合も変わってくるかと思います。
・展示会開催後の額縁等の帰属についても、別紙で定めるようにしています。
・第三者との契約を締結した場合の対価についても、別紙で定めるようにしています。
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★当事務所側でのカスタマイズも承っています(別途お見積り)。
契約書作成eコース by M.B.A. 行政書士 岡田旭事務所
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M.B.A. 行政書士 岡田旭事務所 がBASEで運営する、
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インボイス制度対応(領収書の発行可)。
注釈・コメント付。WORDファイル形式で、すぐにご利用できます。
お客様側でご自由にカスタマイズできます。
当事務所でのカスタマイズも別途お見積りで承ります。
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★この契約書ひながたは、アートギャラリー(甲)がアーティスト=芸術家(乙)のマネジメントに関する業務を行うケースを想定しています。
★アートギャラリー(甲)がアーティスト=芸術家(乙)を独占的な所属(専属)とする場合と、非独占的な所属(非専属)とする場合の双方に対応しています。(第1条第3項。)
★メディアが発達した現代を生きるコマーシャルギャラリー(企画画廊)、アーティストエージェンシーは必携の契約書です。
【ご参考:当事務所HP】
アートビジネス:芸術家とギャラリーの契約書
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アートビジネス:アートレンタル契約書 美術品賃貸借契約書
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アートビジネス:美術品売買契約書
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アートビジネス:レンタルギャラリーの契約書
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デザイン・アート・クリエイティブの契約法務、マネジメント
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ファッションビジネス、アパレル産業の契約法務
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★未成年者の場合は、法定代理人の署名もしくは押印も必要になります。
(未成年者の法定代理人は、通常は親権者です。)
→甲が成年の場合は、4行目の『甲の法定代理人同意の上、』を削除して下さい。
→甲が未成年の場合は、4行目の『甲の法定代理人同意の上、』を残して下さい。
ご参考:東京くらしWEBより(未成年者契約)http://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/sodan/s_faq/kiso/k_miseinen.html
★「アーティスト・ギャラリー マネジメント契約書」に含まれる条項
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第1条(目的)
第1項は、ギャラリーがアーティストのアート作品の保管、展示及び販売に関する業務を行うことを定めています。(典型的なギャラリーの業務に関する規定です。)
★ギャラリーが扱う作品の種類等を、別添の付帯規則にて定めるものとしています。
→本契約の対象となる商品を一覧表にして、この契約書に添付する形式とします。具体的には、この一覧表を本契約書にホッチキス等で綴じて、綴じ目をまたがるように、当事者(甲及び)の契印をします。
第2項は、ギャラリーの(業務を行うにあたっての権限につき定めています。
→本契約では、ギャラリーには、アート作品の保管・展示・販売に加えアーティストの様々な活動について窓口となり、契約交渉・折衝・協議・事務連絡・調整のみならずアーティストを代理して契約を締結する権限まで与えられています。
→第2項各号に定める業務は、アーティストのエージェント的な業務となります。ギャラリーではなく他のマネジメント会社が、これらの業務を受け持つこともあり得るでしょう。
(必要に応じ、内容の追加削除等の変更をして下さい。)
【独占的な所属(専属)、非独占的な所属(非専属)】
第3項は、乙(アーティスト)が第1項・第2項で定めた業務を自ら行う場合及び第三者に行わせる場合は、甲(ギャラリー)の事前承諾が必要であることを規定しています。(これにより、事実上、第1項・第2項で定めた業務は甲の独占業務となります。)
→独占的な所属(専属)とする場合、甲にとっては、他のギャラリーとの競合を避けるためにも、第3項のように定めることが重要になってきます。
→非独占的な所属(非専属)とする場合の、第3項の別例を以下に記載します。
(この場合、現状の第4項は削除することになります。)
第4項:乙が甲以外の第三者から、本件業務を行うことについて打診があった場合は、その打診への対応について甲に相談したうえで決定するものとしています。
第5項:基本契約と個別契約の関係を定めています。
第6項:個別契約は、書面の他、電子メール等の電磁的方法によっても成立する旨を規定しています。
第2条 (展示会、費用負担割合)
第1項:ギャラリーが開催する展示会のスケジュールを、別添の付帯規則で定めるようにしています。
→アーティスト側からすれば、展示会をある程度のスケジュールで開催してくれないギャラリーとは契約する意味が無いので、このような規定をいれています。
第2項:費用の負担割合について、別添の付帯規則で定めるようにしています。
第3項:展示会開催後の額縁等の帰属についても、別添の付帯規則で定めるようにしています。
第3条(甲の利益を最大化する義務)
甲は、乙(アーティスト/芸術家)の利益を最大化すべく最善を尽くすものとしています。
第4条 (顧客・第三者との契約締結等)
第1項:甲が本件作品を顧客に販売・貸出する場合には、甲は乙を代理して販売・貸出することを明記しています。
また、希望販売価格(本件定価)を甲乙合意のうえ定めるものとし、別添の付帯規則に記載するようにしています。
第2項:作品の販売・貸出以外の業務(第2条第2項に記載の業務)を行う場合にも、甲は、必要に応じ、乙を代理して第三者との間で契約を締結する旨を定めています。
→第三者と契約を締結する前に、甲は乙の承諾を得なければならないことを定めています。(赤文字箇所が不要の場合は削除して下さい。)
第3項:甲がいわゆる絵画商法、キャッチセールス等の「特定商取引に関する法律」に規制される販売・貸出方法を行う場合は様々なトラブルが発生しやすいので、注意的に規定しています。(第3項が不要の場合は削除して下さい。)
第5条 (対価)
第1項:乙のアート作品を甲が販売した場合の、甲の対価に関する規定です。
→乙は甲に対して販売価格の所定割合の対価を支払うとしています。ただし、第6条により、実際のお金の流れは、甲が顧客から受け取った作品の販売代金から、自己の対価を控除した残額を、乙に送金することになります。
★ギャラリーの対価は任意ですが、一般的にはアート作品の販売価格の25%~50%の範囲で変化しているようです。ギャラリー業務に伴う費用がかさむ場合に(プロモーション費用、海外渡航費用等がかさむ場合に)、高い対価を設定するようです。
第2項:甲がマネジメント業務をする場合の甲乙それぞれの対価について規定しています。
★ファインアートの業界に限れば、ギャラリーがこのような商業的活動を展開するのはまだ珍しいかもしれませんが、例えば有名スポーツ選手をマネジメントする会社の場合、第1条第2項各号に列挙したような商業的活動についてのマネジメント・フィーは、それらの活動により選手が受け取る対価の10~30%をマネジメント会社が受け取るとされることが多いようです。
→日本のプロ野球の場合、球団と選手の間の選手契約締結に関するエージェント・フィーは、選手契約に基づき選手が球団から受け取る対価(年俸・出場料など)の1~10%と定められるのが通例です。
→メジャーリーグの場合、選手代理人の報酬は、選手が受け取る年俸の5%までと規制されています。また、日本プロ野球選手会の選手代理人報酬ガイドラインでは、選手代理人の報酬は年間で年俸の1~2%程度が標準であるとされています。
第3項:甲が画集やノベルティー・グッズを制作又は販売する場合の対価は、別途協議して定めるものとしています。これらについては、制作会社や販売代理店等の第三者も関係することが多いと思われます。それら第三者との契約内容によって、対価の額も変わってくるものと思われます。
第6条(販売代金・報酬・対価の取扱い)
甲が販売代金・報酬を代理受領する場合、乙への対価の支払いについて取り決める必要があります。
第7条 (報告義務)
甲の乙に対する報告義務に関する規定です。
第8条 (保管責任等)
甲が乙から預かった作品の保管責任に関する規定です。
第9条 (権利保護、複製物)
第10条(作品の複製物及び乙の肖像等の利用)
ギャラリー(とくに企画ギャラリー)は、第三者からアーティストに対するオファーが来るのを待っているだけではなく、積極的に営業活動を行うこともします。また、ギャラリー自身も、有力なアーティストをより多く獲得するため自社の広告・宣伝や営業活動を行います。本条は、そのような場合のアーティストの肖像等の使用について定めています。
第3項は、本条に基づき使用するアーティストの肖像等については、アーティストの事前承諾を得なければならないことを定めています。この規定により、アーティストの意に沿わない使用は防がれることになります。
(第3項が不要な場合は削除して下さい。)
第11条(表明及び保証)
乙が、アーティストとして本契約を締結する権限を有していること(第三者の著作権を侵害等していないこと)及び第三者との間に本契約と矛盾・抵触する契約がないことを表明・保証することを定めています。
第12条(法令等の遵守)
法令または公序良俗に反する行為及び相手方の名誉・声望を段損する恐れのある行為の禁止を定めています。
第13条(権利義務の譲渡禁止)
本契約から生ずる権利義務の譲渡を禁止する規定です。
民法上、債権者は自由に債権を譲渡することができるのが原則です(民法466条1項)が、本条項のような譲渡禁止特約を付けることによって債権の譲渡性を失わせることが可能となります(民法466条2項)。
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第1項:契約当事者間の秘密保持義務について規定しています。
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第19条(暴力団等反社会的勢力の排除)
第20条(協議解決)
本契約に定めのない事項についての解釈基準、解決方法等について規定しています。
第21条(準拠法・合意管轄)
★『東京地方裁判所または東京簡易裁判所』を『乙の本店所在地を管轄する地方裁判所または簡易裁判所』のようにすることもできます。
前段は、本契約を解釈する際に適用される実体法を日本法とすることを規定しています。
後段は、本契約に関する紛争を訴訟で解決する場合の管轄の合意について規定しています。
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【別紙】
第1条(本件業務にかかる作品等)
・「本作品」を種類で限定するほか、具体的な作品名を記載して、当該作品のみを対象とする場合も考えられます。
・「本作品」を限定しない場合は、「乙が制作するアート作品の全て」などと記載します。
第2条(展示会の開催)
・展示会の開催頻度、費用の負担割合について別紙で定めるようにしています。
負担割合をどうするかによって、アーティスとギャラリーの受け取る報酬の割合も変わってくるかと思います。
・展示会開催後の額縁等の帰属についても、別紙で定めるようにしています。
・第三者との契約を締結した場合の対価についても、別紙で定めるようにしています。
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